2024.1.22 ハローワーク非正規相談員を守る市民の会による千葉労働局への要望書提出に参加しました

ハローワーク非正規相談員を守る市民の会による千葉労働局への要望書提出に参加しました。

下記の要望書提出が東京新聞1面記事になりました!

東京新聞「年度末は雇い止めのピンチ!ベテラン「非正規公務員」の経験が失われるのは「市民の損失」と決死の訴え」


本当の多くの方が駆けつけ、非正規公務員の雇い止め、公募の問題、市民への悪影響について、思い思いの気持ちを述べました。


私も司会進行役として参加し、また下記のような意見を述べさせていただきました。
①非正規公務員の法制度の問題
②雇い止め合法化による労働環境の悪化
③相談業務の重要性や専門性の軽視
③の点が、市民にとって最も大きな問題です。


以下、私が述べた内容を掲載します。

1.非正規公務員の法制度について

今更言うことではありませんが、民間であれば、非正規職員は労働法制によって守られます。

労働組合による労使交渉、労働相談・労働局によるあっせん、労働審判など、対等に話し合うための制度が儲けられています。また、不当な雇い止めは無効になるという判例法理もあり、無期転換ルールも制度化されました。

公務員に関しては、正規職員は、手厚い身分保障があり、民間企業以上に、雇用が守られています。

ところが、非正規職員は、身分保障がなく、労基法の対象外とされ、全く雇用が守られない制度になっています。

非正規職員は、周辺的業務とされる相談窓口などを担当し、市民に最も身近な存在です。

そういう市民のための公務員を軽んじているのが、今の制度です。

まず、非正規職員が守られていないという、法制度の異常性について考えてもらいたいと思います。

2.雇い止め合法化による労働環境の悪化

公募による雇い止めが合法化されることで、職場環境が悪化します。

例えば、パワハラ、セクハラで文句を言われても、雇い止めをすれば多くの場合は、争う方法がなくなる、または争うことを止めるため、職場から見れば表面上は問題が解決します。そのため、現場の労働環境を良くしようとする動機がなくなります。

こういう環境では、業務に関連することであっても、相談現場が声を上げること自体を認めないような風土が作られてしまいます。

声を上げれば雇い止めにあうため、声を出すことが憚られ、現場の問題が何解決されず、問題が温存されます。これが積み重なることで、ますます労働環境が悪化します。

また、正規職員と非正規職員は対等な関係ではないため、無意識のうちに、正規職員は、非正規職員を見下すことになります。

そして、これは既に現実になっていると思います。

昨年6月21日に雇い止めにあった職員、パワハラやセクハラについてのヒアリングが行われました。その際に、私も支援者の一人として千葉県教育会館に同行しました。

しかし、労働局の方は、まず話を聞くとき前に、支援者がいたことをついて、怒鳴りつけました。また、部屋の中の扉を閉め、支援者には同席を認めないどころか、ヒアリング前の部屋の立ち入りも拒みました。

意に沿わないことに切れまくり、怒鳴りつける職員は、明らかにパワハラ気質があります。そして、自らがパワハラをしていることに気が付いていません。そのようなパワハラ気質がある職員が、パワハラやセクハラについて客観的なヒアリングが出来るとは到底思えません。また、雇い止めにあった方が、そういう職員を怖がり、素直に話が出来ない状況になってしまうことは、ヒアリングをする側として、非常に問題がありました。

そのときは、落ち着くまで弁護士さんが同席できたことで対応したが、それも、その場での交渉が必要でした。

労働に関する相談を受ける部署の対応としては、非常に問題があったと思います。

正規・非正規の権力構造がこういう対応を許す土壌になっていると考えます。

法制度によって、正規職員が非正規職員を見下し、パワハラやセクハラの温床になる構造を持っていることを自覚してほしいと思います。

3.相談業務の重要性や専門性の軽視

正規職員が権力的業務を担い、非正規職員が、周辺的業務を担うという構造が作られています。これにより、相談支援業務そのものが、周辺的なもの、誰にでもできる軽い業務と位置づけられてしまっています。

しかし、相談現場はそんなに軽いものではありません。まず市民に近い現場であり、市民の生活に密着した、寄り添った支援が求められています。相談窓口の制度に当てはまるか否かの対応だけでは全く足りません。当事者の個々の事情に合わせた柔軟な対応が必要です。そして、質の高い対応をするためには、高い専門性が求められるのです。

そして、相談窓口の対応次第で、その後の人生が大きく変わる可能性があります。それほど、相談現場が担う責任は重いのです。

相談現場の専門性や重要性は、厚労省も認識しています。

社会保障に関することですが、厚労省HPの「重層的支援体制整備事業」には、

「重層的支援体制整備事業の検討過程において、私たち厚生労働省として大切にしてきたこと、それは大きく分けて、

  1. すべての人びとのための仕組みとすること、
  2. これまで培ってきた専門性や政策資源を活かす設計とすること、
  3. 実践において創意工夫が生まれやすい環境を整えることの3つです。」

と記載があります。

ハローワークの現場も同じだと思います。

今ある求人募集にあわないとしても、その人の抱えてる問題を解決することで、よりよい就業が可能になることがあります。

窓口でマニュアルに記載されるだけでは全く足りません。個人個人が抱える問題を見付ける力、関連団体や周辺士業との繋がり、その人に合った伝え方など、繊細かつ専門的な知見が不可欠です。これらは経験により培われるものです。

実は、こういう個々の事情に合わせた、柔軟な対応は、権力的業務を担う正規職員からすれば、不要な対応と考えがちです。それは、制度の適用の有無を判断し、意思決定することが業務であるため、その判断に不要な情報は無駄な情報に過ぎず、周辺事情への配慮などは無駄な時間だと考えてしまいがちだからです。

先に挙げた「重層的支援体制整備事業」の厚労省HPには、

「個人・世帯が複数の生活上の課題を抱えており、課題ごとの対応に加えてこれらの課題全体を捉えて関わっていくことが必要なケースなどが明らかとなっています。」

との一文があります。

今の時代は、ハローワークの窓口でも、就労という一面だけを見るのではなく、個人・世帯が複数の生活上の課題を抱えている可能性があることを念頭に置いた、相談業務が必要だと思います。

そのため、正規職員に求められていることは、ハローワークの弦でも真摯な態度で、非正規公務員の声を聞き、市民に寄り添った対応をすることです。

安易な非正規公務員の公募及び雇い止めをすることは、先に述べたように、現場の声を封じ込め、現場の活力をなくし、結果として市民が抱えてる課題を無視することに繋がります。

千葉労働局の方には、是非とも、公募や雇い止めの弊害を自覚し、市民に寄り添った相談現場の実現のために、自由に発言が出来る風通しの良い職場の構築に務めて頂きたいと思います。

安易な雇い止めは、市民サービスを悪化させます。
千葉労働局には、是非とも、市民に寄り添った対応をお願いしたいと思います。

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