2025年3月議会 一般質問②「子どもの意見表明権・子どもの相談救済機関の設置について」

2025年3月議会 一般質問②「子どもの意見表明権・子どもの相談救済機関の設置について」

今、様々なところで、子どもの意見表明権や子どもアドボカシーという言葉を聞くようになりました。子どもや若者は、未成熟であり、保護者や社会の支えが必要です。しかしながら、子どもや若者は、未熟ながらも、自立した個人として、自己を確立し、自らの意見を表明し、自己の事柄について自ら決定する権利を有し、大人はその意見を尊重する義務があります。

子どもや若者は、「将来を担う人材」ではなく、「いまを生きる市民」として捉え、その意見を聴きながらともに社会を創ることが大事なのです。

これは、国際人権法における価値観であり、また日本でも取り入れられた価値観です。子どもの権利条約、こども基本法やこども大綱に「子どもの意見の尊重」が謳われています。自治体に対しても、こども基本法11条に意見聴取の義務が設けられています。

子どもに関する計画の策定に当たっては、大人からの視点だけではなく、子どもからの視点も入れる必要があります。政策の評価や求める政策も、大人と子どもでは視点が違います。

そこで、今回は、「子どもの意見表明権」についてと、「地方公共団体の条例に基づくオンブズパーソン等の子どもの相談救済機関の設置」について聞きました。

Q 酒々井町では、子どもの生活に大きな影響のある第3期酒々井町子ども・子育て支援事業計画の作成において、子どもへの意見聴取は行われませんでした。子どもへの意見聴取が可能でしたが、しなかったのは何故でしょうか。

A 「第3期酒々井町子ども・子育て支援事業計画」は、「子ども子育て支援法第61条」に基づく「市町村子ども子育て支援事業計画」及び「次世代育成支援対策推進法第8条第1項」に基づく市町村行動計画を一体するものとして策定しており、町民の子育て支援等に関する生活実態や教育・保育、子育て支援に関するニーズ調査を実施し、子育て世帯を対象とした子育て関連施策の改善及び充実を図ることを目的とし、計画の策定をしております。

今回の計画策定に当たっては、子育て世帯の支援に対する計画であることから、子どもを養育する保護者を対象として意見の聴取を行ったものです。

今後、子ども施策を策定する際は、子どもを含めた意見聴取も視野に検討してまいります。

Q 酒々井町には、子ども議会があり、通学路で車道と分離する色つきの舗装整備、駅前のベンチ設置など、実現した政策もあり、しっかりとした対応がなされています。聴いたこどもの意見については、その反映結果にとどまらず、検討の状況や過程についても丁寧にフィードバックすることをしているのでしょうか。例えば、奈良市では、こどもの意見のうち、反映できたものとできなかったものの状況をこどもたちに伝える機会を設けています。今の子ども議会での質疑について、結果報告や検討の状況をしたことはあるのでしょうか。

A 子どもの模擬議会のプランの実現の可能性について、各課に検討を依頼し、可能性に応じて町の答弁を踏まえた、より具体的な町づくりプラン計画書の提出を質問者に依頼しております。この質問者というのは子どもたちのことでございます。質問者からの町づくりプランの計画書の提出を受け、担当課においてさらに検討し、学校を通してその実現の可能性や、実施上の課題等を記載した回答書を質問者にフィードバックしております。
さらに、質問者が計画書に基づいて行動する場合は、学校から実施計画書を提出していただき、可能な範囲で町も協力することで、児童・生徒に町づくりに参加したという、主権者意識の育成を図っております。

O 子どもに関する計画を決める協議会などに、子どもを委員とすることはできないのか。例えば、札幌市教育振興基本計画の策定に向けて、子どもの意見を取り入れるために、市立学校の児童生徒15名から構成される、子ども教育委員会会議が開催されています。

A 具体的に入れる、入れないの検討は、現状ではされておりませんけれども、今後、委員おっしゃるように、子どもの意見を取り入れるという検知からは、そういうことも検討すべきことと考えております。

Q 子どもの意見表明権について、別の角度からお聞きます。

地方公共団体の条例に基づくオンブズパーソン等の子どもの相談救済機関の設置についてです。

「こども大綱」には、こども施策に関する重要事項の一つとして、 「こどもの権利が侵害された場合の救済機関として、地方公共団体が設置するオンブズパーソン等の相談救済機関の実態把握や事例の周知を行い、取組を後押しする」 ことが定められています。子どもの相談救済機関の設置は、国が推進する事業であり、地方公共団体のオンブズパーソン等の相談救済機関は、現在、全国で50箇所を超えており、子どもの権利の侵害に対応して活動しています。

また、日本弁護士会連合会も、昨年の9月20日に意見書を出して、子ども条例に基づく子どもの相談・救済機関の設置を促しています。

様々な子どもの権利侵害の実態、例えば、家庭内の児童虐待や不適切養育、学校における子どもに対する体罰や不適切な指導、幼稚園・保育所における不適切な養育、その他いじめなど子どもの生活の場面においてはさまざまな権利侵害が生じている。自ら経験した事実や求める解決方法について、ありのままを伝えることができるのは、当事者である子どもだけでなのです。

子どもの権利を守るためには、子どもが直接相談できる、オンブズパーソン等の相談救済機関の設置が必要なのです。

このような状況を踏まえた上で、お聞きします。

子どもによる苦情を子どもにやさしい方法で受理し、調査し、かつこれに対応することのできる地方公共団体の条例に基づくオンブズパーソン等の子どもの相談救済機関の設置をすることは検討されているのでしょうか。

A 現状で具体的には検討はしておりませんが、ご意見等は参考にさせていただきたいと思います。

子どもの意見を取り入れるやり方には色々あります。
例えば、立川市では、立川市次世代育成支援行動計画である、「夢育て・たちかわ 子ども21プラン」の子どもの権利の尊重の施策として、公募による小学校4年生から高校生世代程度までの児童、生徒等で構成する「子ども委員会」が毎年実施しています。 毎月1回、年間7回の子ども委員会を開催しており、子ども委員が持ち寄ったテーマの中から、こどもたち自身の話し合いによってテーマを決定し、調べたことを発表しています。
町田市では「町田市子どもにやさしいまち条例(まちだコドマチ条例)」を制定するにあたって、当事者である子どもたちが自由に意見を述べ合い、子どもの権利について考えるこども参画ミーティングを実施し、寄せられた意見を条例の内容検討の参考としています

地方公共団体の条例に基づくオンブズパーソン等の子どもの相談救済機関の設置についても、今までは検討されてないと言うことでしたが、これから少しずつ考えて貰いたいと思います。子どもたちの意見を聞くこと、また子どもたちが、保護者や先生などの大人を通さずに、自ら苦情を伝え、子どもたちのために動いてくれる機関の設置は重要だと思います。

これは、小金井市の取り組みですが、「友達関係について、母から注意されて大喧嘩になる。喧嘩にならないように気持ちを伝えたい」「学校にリップクリームを塗って登校したところ、複数の先生からきつく問い詰められ、学校に行けなくなった」「友達とけんかしてしまい、仲直りしたい」という、相談が寄せられています。身近な問題ですが、子どもの立場に立って、子どものために活動してくれる大人は、なかなかいません。子どものためにも必要だと思いますので、是非、導入をご検討ください。

質問に使った参考資料やサイトは以下の通りです。

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