共同親権について(5) クローズアップ現代で共同親権が取り上げられました
2月28日のクローズアップ現代で、共同親権が取り上げられました。
まず、離婚後の共同親権の話なのに、日常生活も親権の中に入れているのはミスリードですね。日常生活は、監護権(養育)の話なので、別問題です。
それから、番組に出てきたように、現在の法制度でも、共同養育して、共同で意思決定出来ている家族がある
こういう人たちから、共同親権制度を導入しないと困るという声があって、制度を考えるというなら理解できるけど、逆なんですよね。
現に共同してる人は、制度が導入されても何も変わらないから、欲しいとは思わない。
逆に、共同できない人たちが、共同親権制度を求めている。
このような制度導入の動機を考えれば、共同親権制度を導入すると、必然的に共同できない人たちに共同を強いることになる。
その結果、迅速な意思決定が阻害され、子どもが害されてしまう。
また、子どもの安心安全が無視されて議論が進んでいることも、大きな問題。
すでに面会交流では、DVや児童虐待があっても、無理矢理面会させる運用がまかり通っている。
共同親権の制度導入を考えるのであれば、まずは、「子どものため」という本質が置き去りにされて、大人のための運用がされてきた現実を見る必要がある。
法制度を議論する人も、裁判所も、子どもに与える精神的影響についてもっと学んで欲しい。
一般社団法人日本乳幼児精神保健学会の「離婚後の子どもの養育の在り方についての声明」にあるように、子どもに必要なのは、何よりも「子どもが安全・安心な環境」。
https://japan-aimh.smartcore.jp/C21/view_news/VkRNPQ==
児童虐待により傷ついた子どもの心は、安心安全な環境で、時間をかけて、少しずつ癒やされていく。
早急な面会交流はあり得ない。
時間が経って、心の傷が癒やされて、子どもが自ら面会しても大丈夫と思えるようになってから、ようやく検討するというくらいの、ゆっくりとした進行が望ましい。
共同親権や共同養育の議論をする際は、子どもの心の問題をきちんと踏まえる必要がある。
ところが、中間試案では、暫定的面会交流制度の導入が検討されていた。
これでは、心は回復するどころか、更に傷つけられてしまう。
大人のためではなく、子どものための議論をして欲しい。
切にそう願います。