土地規制法の基本方針案のパブコメを提出しました

以前から反対してた土地規制法の基本方針案などのパブコメの締め切りが8月24日でしたので、提出しました。

内容は多岐にわたりますが、~土地規制法の基本方針案にみんなでパブコメを送ろう~http://juyotochi-haian.org/2022/07/28/pubcome_okurou/)のパブコメを下地にして、パブコメ案を起案し、全国青年司法書士協議会で協議承認した内容に、加筆修正を加えたものになります。

【該当箇所】
全体に対する意見

【意見内容】
今回の法令は、「内閣総理大臣が・・・必要があると認めるときは、・・・出来る」というように、内閣総理大臣の主観的判断が要件となっていることが多い。これでは濫用に対応することができない。
そのため、客観的な資料に基づくことを求める、また、事後的な検証を可能とすることで合理性を担保するなど、適切な判断を求めるような仕組みを設けるべきである。


【該当箇所】
第1 重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本的な方向 
(1)国民の権利との関係

【意見内容】
「安全保障の確保のためといえども、・・・国民の自由と権利を制限してはならないのは当然である」と、人権侵害をしてはならない旨を、明確に記載すべきである。

「思想、信教、集会、結社、表現及び学問の自由並びに勤労者の団結し、及び団体行動をする権利その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限することのないよう留意する。」という点について、「〜不当に制限することのないよう留意する」という文言は、個人の感覚により、人権侵害に対する許容性に幅が生じてしまう可能性があり、問題である。
自衛隊は、個人情報を違法に収集してきた事実がある。例えば、個人的な路上ライブ活動によりイラクへの自衛隊派遣反対の署名活動を行っていたところ、情報保全隊による監視活動の対象とされ,氏名及び職業等の個人情報を収集したことが違法と認定されたことがあった(監視活動停止等請求控訴事件 平成28年2月2日仙台高裁判決)。このときの情報保全隊も、敢えて人権侵害をするつもりはなかったと考えられる。しかし、人権侵害を犯していたのである。
「留意する」ということが基本方針となれば、現実に違法・不当に人権に制限を加えても、制限することがないように留意していたと主張すれば基本方針に反しないという強弁の根拠となりかねない。

人権への違法・不当な侵害となるか否かは、個人の主観ではなく、客観的な基準により決しうるものである。運用者の不勉強を理由とする権力の暴走を許してはならない。そのため、端的に「安全保障の確保のためといえども、・・・国民の自由と権利を制限してはならないのは当然である」と、人権侵害をしてはならない旨を、明確に記載すべきである。


【該当箇所】
第1 重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本的な方向
 (2)個人情報の保護

【意見内容】
個人情報の収集にあたっては、個人情報は本人同意に基づいて本人から直接集めるという原則、センシティブ情報の収集禁止原則を守ると明記すべきである。

個人情報保護について、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)(以下「個人情報保護法」という)を遵守するとある。しかし、個人情報保護法には、個人情報は本人から直接集めるという直接取得原則はなく、センシティブ情報である、思想、信教及び信条に関する個人情報や、社会的差別の原因となる個人情報を収集してはならないという、センシティブ情報の収集禁止原則もない。また、多くの自治体では、上記の原則を定めた条例があったが、デジタル改革関連法改正により、国の法制度に一元化することとなり、個人情報収集についての歯止めがなくなってしまった。
この基本方針案では、土地等利用状況調査については、センシティブ情報について収集することはないと明記している。しかし、機能阻害行為の調査に関しては記載がないことから、センシティブ情報についても収集することが予定されていると考えられる。そのため、法第22条による資料の提供などを求められた関係行政機関は、従前であれば行えなかった態様の情報収集をすることが想定され、個人の思想信条を丸裸にするような調査をされる懸念がある。これは、単なる憶測ではない。例えば、監視活動停止等請求控訴事件(平成28年2月2日仙台高裁判決)によれば、イラクへの自衛隊派遣反対を訴える街頭ライブを行った者に対して、町役場の町民課長から仕事中に「歌を歌っているが,レコード会社等には所属しているのか。」と問い合わせがあったことが認定されている。これは、情報保全隊の追跡調査の一環と考えられ、地方自治体職員による、目的を秘した、情報収集の一例である。内閣総理大臣からの資料提供要請があった場合に、地方公共団体は要請に応えようと、目的を秘したセンシティブ情報の収集に走る可能性がある。このような調査が生じないように歯止めをかける必要がある。
従って、個人情報の収集にあたっては、直接取得原則、センシティブ情報の収集禁止原則を厳守すると明記すべきである。


【該当箇所】
第1 重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本的な方向
 (2)個人情報の保護

【意見内容】
「調査事務の一部を民間に委託する場合・・・」との記載は削除し、民間に委託できないことを明確にすべきである。

「調査事務の一部を民間に委託する場合・・・」との記載があるが、法には、内閣が調査を民間に委託できると読める条文は存在しない。また、この基本方針案の第3の1(1)ウ 報告の徴収等にも、民間委託について触れていない。
民間に委託すれば、どのような厳格な契約条項を設けたとしても、情報を民間団体も保有することとなり「収集した個人情報は、内閣府が一元的かつ適正に管理する」との記載と矛盾する。
従って、「調査事務の一部を民間に委託する場合」との記載は削除し、民間に委託できないことを明確にすべきである。


【該当箇所】
第2 注視区域及び特別注視区域の指定に関する基本的な事項
1 注視区域・特別注視区域の指定の趣旨及び手続
(1)注視区域

【意見内容】
「この指定に当たっては、重要施設の周辺に海、河川等が存在するといった地理的特性・・・を考慮する。」とあるが、どのような考慮をするのか、この文章からは読み取れない。端的に、「重要施設の周辺の海、河川等は注視区域とすることが出来ない」「重要施設の周辺に海、河川等が存在したとしても重要施設の敷地の周囲おおむね1,000メートルの区域を超えて指定できない」と明記すべきである。

法の目的は、「重要施設の周辺の区域内及び国境離島等の区域内にある土地等が重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為の用に供されることを防止するため、基本方針の策定、注視区域及び特別注視区域の指定、注視区域内にある土地等の利用状況の調査、当該土地等の利用の規制、特別注視区域内にある土地等に係る契約の届出等の措置について定め、もって国民生活の基盤の維持並びに我が国の領海等の保全及び安全保障に寄与することを目的とする」(法第1条)。また「土地等」とは、「土地及び建物をいう」(法第2条)。
従って、土地ではない、重要施設の周辺の海、河川は、本法律の対象外に他ならないのでああるから、重要施設の周辺に海、河川等は注視区域とすることができず、海上等における抗議行動などを機能阻害行為と認定することはできないことを明確にすべきである。
また、「重要施設の周辺に海、河川等が存在するといった地理的特性・・・を考慮する。」という記載は、海、河川等があるため、その対岸も注視区域とすべきなどと拡張されるおそれがある。そのため、「重要施設の周辺に海、河川等が存在したとしても重要施設の敷地の周囲おおむね1,000メートルの区域を超えて指定できない」と明記すべきである。


【該当箇所】
第2 注視区域及び特別注視区域の指定に関する基本的な事項
1 注視区域・特別注視区域の指定の趣旨及び手続
(1)注視区域

【意見内容】
注視区域の指定にあたっては、「あらかじめ、関係地方公共団体の意見を聴取する」とあるが、「あらかじめ、関係地方公共団体と協議する」とすべきである。また、「関係地方公共団体」を、「注視区域・特別注視区域がある都道府県・市区町村、及びこれに隣接する都道府県・市区町村その他関係地方公共団体」と具体的に明記すべきである。

「経済的社会的観点から留意」との文言があるように、区域指定されると、直接的には不動産取引の減少、地価の低下が生じる。また間接的には、区域指定した地域を利用することによって調査されるかもしれないという不安から、利用の低下につながり、地域の活気が失われ、人口減少に拍車がかかることも想定されるなど、経済的、社会的に大きな影響がある。地方公共団体としては、区域指定されることを避けたいと考え、またそれが避けられないとしても、影響を最小限に食い止めたいと考えるはずである。ところが、意見の聴取に留まってしまうと、このような地方公共団体の意向を無視して、区域指定されてしまうおそれがある。そのため、地方公共団体と協議することとして、地方公共団体の意見を無視できないようにすべきである。
また、関係地方公共団体との記載のみでは、重要施設がある地方公共団体と狭く解釈される余地がある。区域指定の影響は、重要施設の所在している地方公共団体、注視区域・特別注視区域に指定されている地方公共団体のみならず、その隣接している地方公共団体にも幅広く影響が及ぶと考えられる。このため、関係地方公共団体ではなく、注視区域・特別注視区域がある都道府県・市区町村その他関係地方公共団体、及びこれに隣接する都道府県・市区町村その他関係地方公共団体と具体的に明記すべきである。


【該当箇所】

第2 注視区域及び特別注視区域の指定に関する基本的な事項
4 経済的社会的観点からの留意事項 
(2)特別注視区域の指定に当たって留意すべき事項

【意見内容】
「①施設の周囲に指定される注視区域の面積の大部分が人口集中地区であること、②施設の周囲に指定される注視区域内に、人口約20万人の市町村又は特別区の年間土地取引件数と同等以上の土地取引が行われている市町村又は特別区が存在すること」という要件がある場合は、特別注視区域だけでなく、注視区域にも指定しないと明記すること。

特別注視区域の指定に当たって留意すべき事項として、土地等の取引が比較的活発に行われていると考えられることから、人口集中地区であることや年間土地取引件数によって、その周囲を特別注視区域として指定しないことがあるとされている。
不動産取引や地域経済への悪影響が大きいことから、人口集中地域や取引が活発なところは指定しないものと考えられる。その方向性は正しいと考える。しかし、要件を満たしたとしても、指定される可能性があることは問題である。既に基地や原発関連施設が近隣にあるという負担を強いている地域に、地域経済を犠牲にするという更なる負担を増やすことは、可能な限り避けるべきである。そこで、要件を満たした地域は、特別注視区域に指定しないと明確にすべきである。
また、特別注視区域と注視区域の違いは、不動産取引の際の事前届出の有無のみであり、調査対象であることや機能阻害行為の是正勧告があることに違いはない。注視区域となっても、地域経済に影響が生じるおそれが高い。そのため、特別注視区域の指定だけでなく、注視区域の指定もしないと明確にすべきである。

そもそも、問題ある取引を調べることを目的として事前届出制を定めつつ、不動産取引が活発な地域を外さざるを得ないことは根本的に矛盾している。この矛盾点から目をそらすことなく、本法律にあるような事前届出や罰則を伴う調査が本当に必要なのかという観点から、法律の必要性自体を再検討すべきである。


【該当箇所】
第3 注視区域内にある土地等の利用の状況等についての調査に関する基本的な事項
1 土地等利用状況調査
(2)調査の方法
ア 公簿等の収集

【意見内容】
関係行政機関等に情報の提供を求めるときは、内閣総理大臣は、情報が必要な理由を具体的に説明することを明記すべきである。また、「情報提供の求めを受けた関係行政機関等は、・・・・内閣総理大臣にその情報を提供するものとする」の部分は「情報を提供することができる」とすべきである。
国と地方公共団体とは、上下の関係ではなく、対等の関係である。内閣総理大臣から情報提供の要請があったとしても、地方自治の本旨に基づき、地方自治体は提供すべきか否かを主体的に判断できるのは当然である。また、判断材料として、内閣総理大臣は情報が必要な理由を説明しなければならないことも当然である。


【該当箇所】
第3 注視区域内にある土地等の利用の状況等についての調査に関する基本的な事項
1 土地等利用状況調査
(2)調査の方法
イ 現地・現況調査

【意見内容】
未登記の建物があることのみでは現地調査の対象とならないことを明確にし、「登記簿、固定資産税課税台帳その他の公簿から確認することが出来ない場合や、公簿等の情報と現況把握の参考となる地図、航空写真等を照合した結果が大きく異なるなど、更に具体的に確認する必要があると認められる場合等には、現地・現況調査を行う」などと、現実に即した例示にすべきである。

「未登記の建物」とは、表題登記がなされていない場合を指すのか、所有権保存登記がなされていない場合を指すのか。また、法務局における保存登記が未了であるものの、固定資産課税台帳に掲載されている場合も含まれるのかで対象が大きく異なる。

登記には、表題登記と権利登記があり、表題登記がされていれば、建物の所在、地番、家屋番号、種類、構造、床面積、所有者の住所、氏名などが記載される。多くの場合は、この表題登記のみで利用実態の把握が可能である。
また、倉庫や車庫など、本来は登記しなければならない建物なのに、表題登記すらされていない場合もある。この場合であっても、固定資産税課税のために市町村が調査し、建物の所在、地番、家屋番号、種類、構造、床面積、所有者の住所、氏名が、固定資産課税台帳に登録されている。従って、表題登記すらされていない建物であっても、公簿等の情報で現況は把握可能である。
ところで、「現況把握の参考となる地図、航空写真等を照合した結果」とあることから外観の調査であると考えられるところ、権利登記は対抗要件としての登記であり、外観とは関係ないため、権利登記が必要とは考えられない。従って、未登記とは、表題登記すらされていない場合を指すと考えられる。しかし、一般的には登記とは権利登記を指すと考えられることから、この表現は誤解を招く。
そして、表題登記がされていない場合であっても、表題登記で確認できる内容は固定資産課税台帳でも把握できるのであるから、未登記であっても、固定資産課税台帳で把握できる場合は、現地調査の対象から外すべきである。

くわえて、増築を重ねていくうちに、現況が、登記や固定資産税課税台帳の記録と異なる構造・床面積になることもある。このような場合であっても、重要施設の機能を阻害することなどほとんど考えられず、今まで何ら問題なく生活してきたし、取り立てて問題視されることはなかったことが大半であると考えられる。このような状況にもかかわらず、重要施設周辺の住民全てを疑い、調査することになれば、政府や地方自治体、自衛隊への不信感を増すこととなる。これでは、重要施設周辺に不安要素を増やすことになる。このため、公簿等と地図、航空写真等を照合結果との小さな差異については調査しないことが必要であると考えられる。

従って、「登記簿、固定資産税課税台帳その他の公簿から確認することが出来ない場合や、公簿等の情報と現況把握の参考となる地図、航空写真等を照合した結果が大きく異なるなど、更に具体的に確認する必要があると認められる場合等には、現地・現況調査を行う」などと、現実に即した表現にし、現況調査の対象を明確にすべきである。


【該当箇所】
第3 注視区域内にある土地等の利用の状況等についての調査に関する基本的な事項
1 土地等利用状況調査
(3)調査の対象

【意見内容】
弁護士、司法書士、その他守秘義務がある職にあるものは、法第8条(法第13条第5項の準用含む)の対象外とすべきである。少なくとも、正当事由があるとして、報告義務を課されず、刑罰の対象にならないと明確にすべきである。

法第8条(法第13条第5項の準用含む)の土地等の利用者その他の関係者への報告には義務が課せられ、義務違反には刑罰が科せられる(法第27条)。
その他の関係者には、取引に関わった司法書士、弁護士が含まれると考えられる反面、職務上の守秘義務との矛盾が生じうる。このため、守秘義務がある職にあるものは、正当事由があるとして報告義務を課されないと明確にすべきである。
また、報告を求められること自体が、依頼者との信頼関係を破壊する行為であることから、弁護士、司法書士、その他守秘義務がある職については、法第8条の関係者から、明文をもって除外すべきである。


【該当箇所】
第3 注視区域内にある土地等の利用の状況等についての調査に関する基本的な事項
1 土地等利用状況調査
(3)調査の対象

【意見内容】
「土地等の利用者の家族や友人・知人」は調査対象とならないことを明確にすべきである。

土地等の利用者の家族や友人・知人については原則として調査の対象とならないことが認められているにも関わらず、「家族や友人・知人が、土地等の利用者と共同で、対象となる土地等を利用して機能阻害行為を行っていると推認される場合には、法第8条のその他の関係者に該当し、報告の徴収等の対象となり得る」と記載されている。しかし、土地等の利用者と共同で、対象となる土地等を利用して機能阻害行為を行っていると推認される場合とは、機能阻害行為の共犯者と推認されていることに他ならない。そこまで情報が収集されているにもかかわらず、共犯者に対して、土地等の利用者の情報提供を求めることが現実にあるのだろうか。また、実際に情報提供を求めることになれば、刑罰の威嚇をもって、自白を強要することになる。これは、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」という憲法第38条に違反する行為である。
結局のところ「家族や友人・知人が、土地等の利用者と共同で、対象となる土地等を利用して機能阻害行為を行っていると推認される場合」として調査が行われるとしたら、「機能阻害行為」という不明確な概念に該当する行為を、客観的証拠がないにもかかわらず、共同で行っていると恣意的に推認し、それを口実に、本来認められないはずの、土地等の利用者の家族や友人・知人への調査を行うという、脱法的な運用をしたいがためであるとしか考えられない。
なお、本当に土地等の利用者と共同で機能阻害行為を行っているのであれば、当該友人・知人は、土地等の利用者として法第9条による是正勧告をすればいいのであり、法第8条の調査対象としなくても特に問題は生じないはずである。


【該当箇所】
第3 注視区域内にある土地等の利用の状況等についての調査に関する基本的な事項
1 土地等利用状況調査
(4)調査項目

【意見内容】
本籍、国籍は調査項目から外すべきである。

「本籍」は、出自、出生、死亡、婚姻、離婚、縁組などの身分関係を明らかにするための戸籍のある場所のことである。その場所に住んでいる家族は住民票によって明らかになるものであるから、通常は土地の利用に関して、身分関係や、その場所にいない家族親族の情報、出身地は必要ない。
また、本籍は、未だに残る部落差別などの偏見を持たせる情報である。
部落出身者は、本籍地が明らかにされることを非常に恐れている。国が本籍を収集していると知れば、部落出身者は出自が明らかになることをおそれて、住み慣れた土地から離れてしまう可能性もある。
土地の利用とは関係なく、住民を不安に陥れるおそれのある、本籍の収集はやめるべきである。

また国籍も、偏見を持たせる情報である。
国は、朝鮮人学校を高校無償化の対象から除外するなど、国が率先して在日朝鮮人を差別した。この国では、国籍による差別偏見を払拭するどころか、政府がそれを助長してはばからないのである。
そのような状況で、国籍を調査項目とすることは、土地利用の形態ではなく、利用者の国籍に着目した、偏見に満ちた調査が行われかねない。

従って、本籍、国籍は調査項目から外すべきである。


【該当箇所】
第3 注視区域内にある土地等の利用の状況等についての調査に関する基本的な事項
2 特別注視区域内における土地等に関する所有権等の移転等の届出
(1)届出の趣旨

【意見内容】
法第23条による買い取りの申出があっても、登記申請が可能だということを明記すべきである。

「これらの届出は、土地等の取引自体を規制するものではない。」と記載がある。
しかし、法第23条による買い取り請求がないことの証明が登記申請の添付書面となるのであれば、買い取りの申出がある限り、所有権移転登記ができなくなり、事実上の土地取引規制となる。売買することができなければ、国への買い取りを強要されることに繋がり、軍事目的による土地収用法と化してしまう。
そのため、法第23条による買い取りの申出があっても、登記申請が可能だということを明記すべきである。


【該当箇所】
第3 注視区域内にある土地等の利用の状況等についての調査に関する基本的な事項
2 特別注視区域内における土地等に関する所有権等の移転等の届出
(3)届出事項

【意見内容】
国籍等は届出項目から外すべきである。

本法律は、外国資本の土地取得がそのきっかけとなった。しかし、法律の内容としては、規制対象は国籍の違いはなく、全ての日本人も調査対象とされることとなっている。またその現況調査の例示として、利用者の属性は問題とされておらず、「公簿等の情報と現況把握の参考となる地図、航空写真等を照合した結果、未登記の建物の存在が明らかになる」とあるように、その外形的・客観的事実が問題とされている。
従って、国籍等は届出項目から外すべきである。


【該当箇所】
第3 注視区域内にある土地等の利用の状況等についての調査に関する基本的な事項
2 特別注視区域内における土地等に関する所有権等の移転等の届出
(4)届出制度を円滑に運用するための取組

【意見内容】
事前届出の対象となる土地等の面積は、契約書に記載の面積なのか、実測面積や登記簿の面積、固定資産税台帳の面積なのかなどについて、明確にすべきである。
また、インターネットで地番を入力すれば、事前届出の対象なのかすぐに判明するようなサイトを設けるなど、一般人が、取引対象の土地等が事前取引の対象なのかすぐに分かるような制度を設けるべきである。

本法律が施行されると、今まで自由だった取引が、面積200平米以上の取引に限るとは言え、事前届けを怠ると刑罰の対象となる。どの土地等が対象なるのか、容易に分からなければ、市民は取引を萎縮する可能性がある。例えば、建物敷地部分だけでは対象とならないが、共有の私道部分を一緒に売買の目的とした場合には、対象の面積となってしまうことも考えられる。また、登記簿の面積と実測面積が違う場合に、どちらの数字が対象になるか一義的に決まるのか、契約内容によるのかなど不明である。また、土地売買契約した後に、測量したところ、登記簿面積を超える面積であることが判明し、事前届出の対象だったことがわかる場合も考えられる。
このように、実際の取引を考えると、事前届出の必要性の有無は簡単に判断できない。
その運用によっては、当事者にとって不意打ちになる可能性もある。
そのため、対象の判断指標である面積は、どの数字を使うのか明確にすべきである。そして、事前取引が必要か否かを、不動産取引の素人であってもすぐに分かるようなシステムを作ることが必要であると考える。


【該当箇所】
第4 注視区域内にある土地等の利用者に対する勧告及び命令に関する基本的な事項
1 勧告及び命令の趣旨及び手続

【意見内容】
勧告に不服がある場合は、行政不服審査手続きで争うことができる旨を明記すべきである。また、行政不服審査手続き中は、命令を出すことができない旨を明記すべきである。

機能阻害行為は漠然とした概念であり、その勧告に合理性があるのか判断できない。合理的理由がないにもかかわらず、勧告が行われる場合も想定される。ところが、これに対する不服申し立て手続きについて明記がない。そのため、勧告に不服がある場合は、行政不服審査手続きで争うことができる旨を明記すべきである。
また、行政不服審査手続き中で争っている間は、本人が是正する期待可能性がない。その場合にも、命令が発せられ、刑罰が課されることとなると、事実上、行政不服審査手続きを取ることが不可能となる。これでは手続保障に乏しい。そのため、行政不服審査手続き中は、命令を出すことができない旨を明記すべきである。


【該当箇所】
第4 注視区域内にある土地等の利用者に対する勧告及び命令に関する基本的な事項
2 機能阻害行為
(1)機能阻害行為の類型並びに勧告及び命令の対象となり得る行為

【意見内容】
機能阻害行為の内容が漠然として不明確であることから、処罰範囲を限定すべきである。また他の法律での既遂罪とされている行為について、同じ行為の未遂罪、準備罪の方が重い罰条になることがないように、統合性をとるべきである

刑罰法規は、秩序維持機能があるとともに、自由保障機能がある。明文をもって刑罰が規定されていない行為は、例え倫理的に非難されるものであっても犯罪とはならないからこそ、市民は自由な行動を確保できるのである。
そのため、刑罰法規があいまい不明確である場合は、憲法第31条に違反し、違憲無効であると考えられている。判例も、「通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるかどうかによつてこれを決定すべきである」(徳島市公安条例事件 昭和50年9月10日最大判)と、明確性を要求している。

ところが、機能阻害行為として例示されている行為は、法の目的から想定される土地工作物の設置のみならず、レーザー光等の光の照射など、土地利用と関係ない行為も含まれている。更に、「ただし、これらは例示であり、この類型に該当しない行為であっても、機能阻害行為として、勧告及び命令の対象となることはある」と、結局どのような行為が、機能阻害行為になるのかについて、誰も判断できないままである。

また例示列挙されている事項も不明確であるし、その内容にも問題がある。

例えば「自衛隊等の航空機の離着陸の妨げとなる工作物の設置」については、航空法に類似の規定がある。航空法は、航空機が安全に離着陸するためには、空港周辺の一定の空間を障害物が無い状態にしておく必要性から、制限表面を超える高さの物件(建物・避雷針・アンテナ・看板・電柱等の恒常物件や、工事用クレーンやドローン・ラジコン等の仮設物件、樹木も含む)を設置することは航空法で禁止され(航空法第49条及び第56条の3)、これに違反して、物件を設置・植栽・留置した場合は所有者は除去を求められ、罰金が課せられることもある(同法第150条)。)。
航空法と同じ内容であれば、機能阻害行為とする必要性は乏しい。また範囲が異なるのであれば、航空法と同じように詳細な規定が必要である。さもなくば、何が禁止された行為なのか確認できない。もし航空法が処罰していない未遂罪や準備罪を処罰するのであれば、既遂罪である航空法が50万円以下の罰金なのに対し、それよりも軽い罪状の未遂罪や準備罪が2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金(法第25条)となり、行為の違法性と処罰の軽重が矛盾してしまう。

市民の自由保障機能を有する刑罰法規なのであるから、これらの問題を解決する必要がある。そこで、機能阻害行為の内容が漠然として不明確であることから、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるように、処罰範囲を限定すべきである。また他の法律での既遂罪とされている行為について、同じ行為の未遂罪、準備罪が重い罰条になることがないように、統合性をとるべきである。


【該当箇所】
第4 注視区域内にある土地等の利用者に対する勧告及び命令に関する基本的な事項
3 補償の趣旨及び手続
(1)補償の趣旨

【意見内容】
適法に設置した工作物等についての補償は、撤去に要した費用だけではなく、設置に要した費用も補償すべきである。

適法に設置した工作物等は、本来なら撤去する必要がないものである。
ところが、漠然とした概念であり、予見可能性のない「機能阻害行為」であると内閣総理大臣が認定した途端に、撤去しなければならないという理不尽な扱いを受けることになる。勧告を受け、適法だった工作物を撤去したことによる損失は、撤去費用のみではない。適法だった工作物を失ったのであるから、その工作物の価格ないし設置費用も損失に当たるのは当然である。
従って、適法に設置した工作物等についての補償は、撤去に要した費用だけではなく、設置に要した費用も補償すべきである。


【該当箇所】
第4 注視区域内にある土地等の利用者に対する勧告及び命令に関する基本的な事項
3 補償の趣旨及び手続
(2)補償の手続等

【意見内容】
補償の手続きにおいては、原則として損失を受けた者の主張は全て正当であると推定し、国が不当と主張立証し、その合理性が認められた場合にのみ、不支給または減額を認めるべきである。また、撤去する前に補償の額を仮払いするような制度を設けるべきである。

「補償に当たっては、内閣総理大臣は、損失を受けた者と協議を行うこととなるが、当該 損失を受けた者の主張を確認し、その主張の正当性、合理性等を見極める必要がある。そ の上で、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱(昭和37年6月29日閣議決定)を踏まえ、事案の内容に応じて、公平かつ適正な検討を行う。」と記載されている。
しかし、機能阻害行為が無限定であり、予見可能性がなく、しかも同じ行為でも、個々の事案によって勧告命令の対象とならないとされている。更に、適法に設置した工作物等であっても、勧告の対象となるという理不尽さも備えている。それなのに、低廉な補償しか受けられないとしたら、市民はその勧告を素直に受け入れず、最後まで争う可能性がある。更に、撤去した後でなければ補償の交渉が始まらず、結果として当初想定していないほどの低廉な補償になったり、そもそも補償が全く受けられない事例が頻発すれば、一般市民は、行政への信頼を失い、勧告に従うものはいなくなってしまう。
これでは、速やかな機能阻害行為の排除という本来の目的を達成することができない。

このため、速やかな機能阻害行為の排除を実行するためにも、補償の手続きにおいては、原則として損失を受けた者の主張は全て正当であると推定し、国が不当と主張立証し、その合理性が認められた場合にのみ、不支給または減額を認めるべきである。また、撤去する前に、金額を確定し、しかも撤去前に仮払いすることが、信頼確保のために望ましい。なお、撤去自体は国が責任主体となって撤去作業を依頼する対応をすれば、仮払いは可能であると考える。


【該当箇所】
第4 注視区域内にある土地等の利用者に対する勧告及び命令に関する基本的な事項
3 補償の趣旨及び手続
(1)補償の趣旨

【意見内容】
勧告に先立つ状況説明をうけて、措置をとった場合にも補償する制度を設けるべきである。

第4の1に、「勧告の対象となる土地等の利用者に対し、勧告に先立ち、土地等の利用の機能阻害行為の状況等を説明した結果、速やかにこれが是正された場合には、勧告は行わない。」との記載がある。しかし、この説明段階で是正した場合に、補償を受けられる法的根拠がない。
説明を受けて速やかに是正した場合は補償を受けられず、説明は無視して、是正勧告を受けてから是正した場合には補償を受けられるとしたら、正直者が馬鹿を見ることになってしまう。これでは迅速な是正が望めない。
そこで、説明を受けて速やかに是正した場合にも補償を認めるような制度を設けるべきである。

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