2022年6月議会 一般質問「酒々井町公共施設等総合管理計画について」

1.はじめに

 酒々井町では、近年、新しい公共施設を購入・建築しています。

 また、これに加えて「史跡墨古沢遺跡整備基本計画」も立ち上がっています。
 酒々井町は、新しい公共施設を作ることに非常に熱心だと言えます。

 ところが酒々井町は、そんなに気軽に新しい公共施設を作られる状況ではありません。

 多くの公共施設等が改修・更新の必要があります。少子高齢化により、地方自治体の財政状況はますます厳しくなっていきます。
また、人口減少等により今後の公共施設等の利用需要が変化していくことも考えられます。これからも住民サービスを維持していくために、公共施設等の全体を把握し、長期的視点に立って公共施設等の総合的かつ計画的な管理を行うことが必要です。

 公共施設等総合管理計画は、①公共施設等の現状、財政の現状を分析し、②その結果を基に総合管理の方針を打ち出し、③施設類型事の基本方針を定めます。
これによって、地方自治体全体での公共施設の状況を確認できますし、今後数十年に及び長期的な計画を建てることが出来るのです。

「【参考】総務省 報道資料 平成26年4月22日 公共施設等総合管理計画の策定要請」より

 同計画の大きな方針の一つに「公共施設の長寿命化」があります。
 古い建物は、建物自体の物理的な老朽化もありますが、それとは別に、単なる改修では現在求められている性能を満たせないという問題に直面します。これに対応するために行われるのが、長寿命か改修です。長寿命化改修とは、建物全体の物理的な不具合を直し、建物の耐久性を高めることに加え、建物の機能や性能を現在求められている水準まで引き上げる改修のことを言います。
 図は、総務省HP 「公共施設等総合管理計画の更なる推進に向けた説明会に係る配布資料(平成30年4月23日開催)」に記載されています。

 

 そのほかの方法も併せて、人口減少、充当可能財源等から施設の総量と改修・更新・ 維持管理費の削減を徹底させることが目的とされています。

 この目的から、総務省は、「公共施設等総合管理計画」、同計画に基づき、個別施設ごとの具体的な対応方針を定めた「個別施設計画」の策定を各自治体に要請したのです。

2.酒々井町公共施設等総合管理計画の概要

 酒々井町でも、総務省からの要請に応じて、平成27年度に「酒々井町公共施設等総合管理計画」を始めて作成し、令和3年3月に更新ました。

 町HP 酒々井町公共施設等総合管理計画について

 「第1章 はじめに」のところで、策定の目的や計画の期間などが記載されていると共に、「全庁的な取組体制の構築及び情報管理・共有方策」への記載があります。

 本計画において、全庁的な取り組み体制の構築は、最も重要な点の一つです。

 公共施設の必要性や管理コストを、担当課ごとに判断させてしまうと建物は簡単に必要だと結論を出してしまいます。これでは、公共施設は増える一方です。また改修・更新時期も、各担当事に計画を立ててもなかなか実行にまで至りません。
 これらに対応するために、副町長を委員長とし、公共施設等所管課の課長等で構成する「酒々井町ファシリティマネジメント戦略会議」を設置することで、担当の壁を越えて、町全体で取り組むことが可能になるのです。

下記は、「酒々井町公共施設等総合管理計画」の2頁、42頁です。

 

「第2章 酒々井町の公共施設等の現状」では、酒々井町が所有している公共施設が網羅的に記載してあります。

「第3章 酒々井町の財政の現状」では、歳入歳出の推移が記載されています。

「第4章 総合管理の方向」で、公共施設更新費用試算ソフトでの試算ですが、改修・更新に必要な具体的な数字が出てきます。
 

建物などの公共施設については

(築後 60 年経過年度に建て替えるものとした)試算によると、令和3〜36 年度の更新費用総額は 210 億円、1年当たりの整備額は 6.2 億円となります。
内訳は、「当初時点から未実施の更新」が 32 億円、「築後 30 年経過に伴う大規模改 修」が 20 億円、「建て替え」が 159 億円です。

<略>

しかし、直近5年間の投資的経費をみると年平均は 4.5 億円であり、上記の将来推 計の 6.2 億円を長期間にわたってまかなうことは財政運営上困難と考えられます。

酒々井町公共施設等総合管理計画 24頁

文部科学省の「学校施設の長寿命化計画策定に係る手引」や他の地方公共団体の公共施設等総合管理計画を参考に、築後 40 年で大規模改修を実施、使用目標年数を 80 年とし、5年ごとに計画保全を実施する設定での試算を行うと、令和3〜令和 36 年度の更新費用総額は、110 億円、1 年あたりの整備額は 3.2 億円となり、支出の縮減額は、令和3〜令和 36 年度の総額は 100 億円、1 年あたりの額は 2.9 億円と なります。

酒々井町公共施設等総合管理計画 24頁

道路・橋りょう・上水道・下水道などのインフラについて

令和3〜36 年度の道路、橋りょう、上下水道などのインフラの整備 費用総額は、217 億円、1 年当たりの整備費は 6.4 億円となります。

酒々井町公共施設等総合管理計画 27頁

総括
公共施設(60 年建て替えケース)とインフラを合わせると、令和3~36 年度の更新費用総額は 427 億円、1年当たりの整備額は 12.6 億円となります。
一方で、公共施設(80 年建て替えケース)とインフラを合わせると、令和3~36 年度の更新費用総額は 327 億円、1年当たりの整備額は 9.6 億円となります。
これらを、直近5年間の投資的経費と比較してみると、1 年当たりの平均は 11.1 億 円であることから、60 年建て替えケースでは年に約 1.5 億円の財政負担が増え、80 年建て替えでは年に 1.5 億円の財政負担の減少となる見込みとなっています。

酒々井町公共施設等総合管理計画 29頁

60 年建て替えケースでは年に約 1.5 億円の財政負担が増え、80 年建て替えでは年に 1.5 億円の財政負担の減少となる見込みとなっていることから、町は80年建て替えとして計画を進めていきたいと考えていると思います。しかし、80年建て替えでもすぐに大規模改修をしなければいけない時期になっている。早急に対応する必要があるはずなのです。

 さて、この計画の最後「第6章 フォローアップの方針」には、「施設管理者が、点検・診断により劣化状況と 修繕優先順位の判定を確実に行い施設の状態を的確に把握する必要があり、その基礎情報を活用して必要な対策を効果的に行うための個別施設計画を作ることができます」と、「個別施設計画」へ言及があります。

 ここで「個別施設計画」とは、個別施設毎のメンテナンスサイクルの実施計画として、「対策の優先順位の考え方」、「個別施設の状態等」、「対策内容と時期」、「対策費用」等を記載したものです。
 優先順位や対策内容と時期、費用などを明らかにする個別施設計画を作り、それをもとにすることで、町全体の公共施設の統廃合、改修・更新計画を具体的に考えることが出来るのです。また実際に行われた改修などを公共施設等管理計画・個別施設計画に反映させることで、「点検→計画→改修更新→点検・・・」というメンテナンスサイクルが機能し、公共施設等の長寿命化計画を実現することが出来ます。(下図は、「個別施設計画の策定について 総合管理計画の更なる推進に向けた説明会 平成30年4月23日」より)

3.酒々井町公共施設等総合管理計画は機能しているのか

 さて、このような目的から作られた酒々井町公共施設等総合管理計画ですが、きちんと機能しているのでしょうか。
 このような観点から、今回一般質問しました。
 多数の質問をしましたが、今回は重要な要素である、「個別施設計画」「全庁的な取組体制の構築」についてのみ記載します。
 ※なお、各質問回答については、発言を文字起こししたそのものではなく、文字起こしを元に、意味がわかりやすいように文章を整えてあります。

(1)個別施設計画について

 「酒々井町公共施設等総合管理計画」は、平成27年度に始めて作成され、令和3年3月に改訂されました。
 この令和3年に改訂された「酒々井町公共施設等総合管理計画」の改修・更新費用は、実際の建物の状況を無視して、一定の単価に基づき、公共施設更新費用試算ソフトを使って、60年建て替え、80年建て替えの数字を出したに過ぎません。大きな方向性は確認できますが、具体的な意味はあまり持ちません。

 本来であれば、改訂までに個別施設計画を作成し、それを総合管理計画に反映させる必要があったと思います。その点を聞きました。

Q 計画に記載されている建物の中には、既に老朽化し、建て替えや廃止が具体的に検討されるべき施設も含まれている。ところが、更新にかかる経費は、公共施設等更新費用試算ソフトを用いた概算であり、建て替えの時期も60年又は80年と一律になっている。本来であれば、個別施設計画の積み上げによって、更新費用や建て替え時期を記載すべきだと考えるが、それが出来なかった理由は何か。

A 本庁においては、各施設管理者が作成する個別施設計画の策定が進まなかったことから、酒々井町公共施設等総合管理計画においては、原則として各施設の対応年数を基本とした改修行進等の経費を記載しているところでございます。 公共施設等、総合管理計画に記載する改修更新費用等については、個別施設計画に基づき、記載することが望ましいことから、 各施設管理者等を対象とした会議を開催し、その必要性を共有共有することにより、早期の個別施設、計画策定に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

Q (個別施設計画の作成が)あまり進まないというが、お金が足りないとか、人が足りないとか、の時間がないからなど、何か具体的な理由があるのか

A 今お話のあった費用的なもの、というのもあるかと思います。基本的に、すべての施設の個別施設計画を予算をつけて、すべて外注というわけにもなかなか参りません。総合管理計画ができた当時は、人員も揃ってなかったために各施設管理者の方にお願いをしたところですが、新たに組織としてできた施設総合管理室の方でサポートをして対応したいと考えております。

Q 個別施設計画の作成費用について、国からの補助はないのか 

A お金の補助というのはないが、補助金の条件として、計画が必要だというようなものが非常に多くなってきている。

 費用の問題、人材の問題などがあったと言うこと。また国からの費用がないため、作成するための費用を捻出する必要もあったと言うことが分かります。

 今後は、新たに組織された施設総合管理室によって、個別施設計画や公共施設等総合管理計画の作成が進むと考えられます。

(2)全庁的な取組体制の構築について

Q 全庁的な取組体制の構築及び情報管理・共有方策ということで、 副町長を委員長として、公共施設等所管課の課長等で構成する「酒々井町ファシリティマネジメント戦略会議」が設置されて、全庁的な取り組み体制の構築を図っていると、この計画には書かれています。
例えば、JAの跡地とか、もしくは酒々井小のプールを取り壊すかどうかっていう検討する中で、この会議が開かれていたんでしょうか。

A 個別施設の検討については、担当課の方で検討しているという状況でございます。ただしですね、状況によってはFM担当のものが、参加をさせていただいて、意見は述べているということでございます。今後、推進委員会等のどのような関わり方が良いのか、というのも検討をさせていただきたいと思います。

Q 下宿ベースやげんき館など新しい施設を設ける場合、複合的多目的のため、他の目的でも使えるんじゃないか、または既存の施設で賄えるようなものを新しく作るんじゃないかなど、こういうことを全庁的に検討して、それから新しいものを作るというプロセスが必要だったのではないかと思います。この下宿ベース、げんき館など新しい施設設ける時、ファジリティマネジメント戦略会議は開かれなかったんでしょうか。

A 個別の施設につきましては、担当課の方で検討会を設けているという状況でございます。

 現時点では、全庁的な取組体制の構築は制度としてはあるが、実際には機能していないことが明らかとなりました。

 担当課ごとの判断であれば、必要だと思ったら、簡単に作るという結論になってしまいます。

 酒々井町公共施設等総合管理計画は、公共施設の改修・更新をしなければいけないが、多額の費用がかかるし、これからの人口減少・高齢化社会にむけて、公共施設の統廃合や優先順位、総床面積減少などを実現するために、全庁的に取り組むことを宣言し、そのための組織作りを提唱したものです。

 ところが、実際には機能しておらず、小さい建物がポコポコ建ってしまいました。これでは、町の財政的負担が全然軽くならない、どんどん重くなっていく一方です。

 今後については、新しい建物を検討するときは、建設、維持管理にいくらかかるのか、既存施設の活用ではダメなのか、それはどうしても必要なのかということを、全庁を挙げて検討いただき、その結果を議会や住民に示して頂きたいと思います。


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