緊急事態宣言をしても、強制的な都市封鎖(ロックダウン)はできません

covid19

都市封鎖(ロックダウン)という言葉がよく聞かれます。
また、都市封鎖に至らないように自粛しようという啓蒙が、政府・知事の口から報道機関を通じて流れるようになりました。

例えば、小池知事は3月23日の会見で
「事態の今後の推移によりましては、都市の封鎖、いわゆるロックダウンなど、強力な措置をとらざるを得ない状況が出てくる可能性があります。そのことを何としても避けなければならない。そのためにも、引き続き、都民の皆様のご協力、さらに一層のご協力をよろしくお願いを申し上げ」
と述べました。

安倍総理は3月28日の会見で
「オーバーシュート(爆発的患者急増)が発生した欧米各国では、都市を封鎖したり、強制的な外出禁止、生活必需品以外の店舗封鎖など、強硬な措置を講じざるを得なくなっています。現在、大変ご不便をおかけをしていますが、それは、一層厳しい、このような強硬措置を回避するためのものであることをまずご理解いただきたいと思います。」
と述べました。

多くの方は、緊急事態宣言が出されると、強制的に外出や営業が禁止され、今以上に行動が制限されると思っているのではないでしょうか。
しかし、現行法では、強制的な都市封鎖はできません。

参考になる記事がいくつかあります。

改正特措法「緊急事態宣言」発令が何を引き起こすか
https://news.yahoo.co.jp/byline/tarobando/20200327-00169975/?fbclid=IwAR3BK1zJqU5QV7AHaHvmTWiC75WUDdJAgDjfA6JQqDfIyB_5_D1P8JCOAlU

東京は本当に「ロックダウン」されるのか? 安倍首相「強制的、罰則を伴うものではない」
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/tokyo-lockdown

緊急事態宣言が出されても、要請、指示しかできません。
みなさんがイメージするような、強制的な都市封鎖はできないのです。

そのため。緊急事態宣言が出されても、自粛要請に関しては、あまり違いがありません。
むしろ、今行われている自粛要請は、緊急事態宣言が出される場合以上に、広範にわたっているところがあります。

例えば、緊急事態宣言が出される場合の自粛要請は、「期間及び区域」を特定して行う必要があります。
しかし、今行われいる自粛要請は、地域を限定しない、漠然とした呼びかけになっています。
そのため、緊急事態宣言が出された場合より、広範な要請であると考えられます。

また、緊急事態宣言が出されている場合に、イベントや店舗の自粛要請ができますが、原則として床面積1000平米を超えるものと面積要件があります。中小規模については、「特に必要なものとして厚生労働大臣が定めて公示するもの」に限り、自粛要請ができます。

ところが、小池都知事は
「ライブハウスなどについても自粛をお願いする要請を、個別に行ってまいりたいと考えておりますので、ご協力の程よろしくお願い申し上げます。」
と面積要件に触れずに要請を行う方針のようです。

実際に、一律に「ライブハウス・興行場等におけるイベントの自粛等への協力依頼」として、ライブ演奏を行う飲食店営業者、区内興行場営業者・管理者あてに、自粛要請がなされています。
https://www.city.shinjuku.lg.jp/kusei/cln202002_l01.html

これも、緊急事態宣言が出されている場合以上の対応と考えられます。

また、公表についても、緊急事態宣言が出されている場合に、「要請又は前項の規定による指示をしたときは、遅滞なく、その旨を公表しなければならない」と規定されています。
反対解釈により、それ以外の場合は、公表してならないと考えられます。
何故なら、自粛要請は、本来はそれぞれの判断に任されいるからです。

ところが、緊急事態宣言が出されていないにも関わらず、自粛要請に従わなかったとK-1を名指しで非難しました。
ここでも、緊急事態宣言が出されている以上の対応がされています。

この辺りのロジックは、小口 幸人弁護士のFacebookが参考になります。
https://www.facebook.com/plugins/post.php?href=https%3A%2F%2Fwww.facebook.com%2Fyukihito.oguchi%2Fposts%2F2842416255835515

もちろん、緊急事態宣言が出されると、指定公共機関への指示や、強制的な土地・家屋の使用、特定物資の収容などがあり、現状よりも、都道府県知事の権能が大幅に増えます。
しあし、都市封鎖をする権限はないのです。


現行法で都市封鎖ができるとすれば、2番目の記事にあるように感染症法に基づく交通遮断は考えられます。
しかし、「72時間以内の期間を定めて」「感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のもの」である必要がありますので、外国でやっているような都市封鎖をすることは難しいと考えられます。


長々と書いてきましたが、やはり現行法では、都市封鎖は無理だと考えられます。

それでは、何故、総理や都知事が都市封鎖に言及しているでしょうか。
それは、日本では現時点でできない海外の事例を引き合いに出して、危機感を煽り、自粛要請に従う空気を醸し出していることだと考えられます。
感染を拡大するためにやむを得ないのかもしれませんが、政治姿勢として問題があると思います。
正確な情報を元に、専門的知見に基づいた要請をすることで、人々の適切な対応を取ってもらえるように、政治家は誠実な対応をするべきだと思います。

それから、自粛要請をする上で欠かせないのは、所得保障です。
安倍総理は、3月28日の記者会見で、「損失を補填する形で税金で補償するのはなかなか難しい。そうではない補償がないかということを今考えているところでございます」として、税金を使った補償制度は行わない方針を示しました。
イベント業者は、自粛要請に従って経済的困窮を招くか、自粛要請に反して講演をして社会的非難を浴びるか、という二者択一を迫られます。
これでは、自粛要請の効果が弱まってしまいます。
安心して自粛できるように、所得保障をすべきです。

税金を、そんなことに使うなという意見もあると思います。
しかし、業者が破綻するときは、一社にとどまらず、関連業者への連鎖倒産を招くなど、その影響は広範に及びます。
また経済的困窮により自殺が増える可能性があります。
一度失われた命は、後からいくらお金をかけても元に戻すことができません。

自粛要請に従ってもらうことが、感染拡大を防ぎ、社会を守る力となります。
所得保障というインセンティブを与えることは、特定の人たちを優遇するのではなく、社会全体を守ることになります。
そして、そのコストは、社会が崩壊するよりも小さいものなのです。

この危機を乗り越えるために、必要なお金がしっかりと使い、人々の命と社会を守ってもらいたいと思います。

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