立憲民主党の代表選挙では、「消費税」について、「事業者目線」「経済政策」から語ってほしい
現在行われている立憲民主党の代表選挙。
吉田晴美さんが名乗りを上げたことで、「消費税」が一つの相談になっています。ところが、各候補は「消費税」について、「財政」と「消費者」への影響についてのみ言及され、「事業者目線」と、「経済政策」としての消費税については全く語られていません。
そこで、各候補者には、以下の観点を踏まえて、「事業者目線」「経済政策」で語って欲しいと思います。
(1)インボイス制度廃止・見直しに言及を
インボイス制度は、新規事業立ち上げの大きな弊害であり、既存事業者に無駄な事務負担を増やし、更に実質的な消費税増税となった、短期的にも、中長期的にも経済の衰退をもたらす愚策です。
インボイスに反対する署名をした60万近い人たちを意識してください。
立憲民主党は、インボイス制度に反対していましたが、代表選挙では全く触れられていません。
そして消費税の扱いは現状維持・食料品ゼロ課税(複数税率のまま)ということで、立憲民主党はインボイス継続に変わったと見られ始めています。
インボイスに反対のままであるなら、是非とも、インボイス廃止または見直しに言及してください。
(2)消費税は消費者だけでなく、事業者の負担も大きい。
消費税増税の際に、増税分を価格に入れて「全額分値上げ」「一部分のみ値上げ」「値上げしない」かは、事業者・経営者の判断。
値上げをして、売上げが減って、利益が減っても、それは事業者の負担。
法人税は赤字なら納税額はない。消費税は赤字でもかかる過酷な税制。
日本は、増税や経費負担が増えても価格転嫁がしづらい流通構造であるため、消費税の全てが価格転嫁されているわけではない。
消費税は、事業者が吸収している部分も多い。
STOPインボイスさんの7000人実態調査でも、登録事業者の6割超が税負担を価格に乗せられず貯蓄などを切り崩して補填していると回答。
(3)消費税は人件費が上がらない要因の一つ
人件費は消費税の税額控除が使えないため、人件費が大きい業種は消費税負担が大きくなる。
雇用と労働条件が変わらない、いわゆる違法委託・請負にするだけで、税額控除が得られ10%の節税効果が生まれる。
頑張って雇用を守る企業の負担が大きい消費税は、大きな問題である。
(4)消費税は、事業者間の方が逆進性がある
輸出企業は消費税の還付を受けている。消費税は輸出企業の補助金という性質を持つ。
一方で、人件費がかさんだり、売上げが落ちて赤字になった事業者も、消費税を納める義務がある。
この点だけ見ても、事業者間の逆進性も大きい。
更に大きな問題がある。
今年に入り、日産自動車が下請け業者への支払代金を不当に減額したとして、下請け法違反行為で公取委から勧告を受けた。日産は輸出割合の多い大企業であり、1000億を超える消費税の還付を受けている。不当に減額しているのであれば、下請け業者は、利益から消費税分を捻出せざるを得ず、一方で、日産は、不当に減額させる利益を得ながら、更に消費税還付による利益を得ていたことになる。消費税法上は合法であるかもしれないが、不当であることは明らかである。
このような不当な値引きは、日産に限らず、他の大企業でもあると考えられる。
輸出大企業を抱える経団連は、しばしば消費税増税に言及しているが、消費税増税は、不当な利益を得るための政治的手段になっていた可能性もある。
このような不当な消費税還付がある実態を見れば、逆進性は、企業間に方が顕著であると言える。
(5)誤解したイメージに基づく消費税で議論してませんか?
①インボイス廃止もしない現状維持では、新規参入が減り、廃業が増え、日本社会全体が衰退していくするという睥睨が除去されない。
②食料品ゼロ課税にしても、免税事業者もあるし、事業者で吸収していた部分もあるため、店頭価格が変わらない可能性もあるし、10%値引きになるわけではない。
③給付付き税額控除は、事業者負担を全く考慮にいれていない政策。①と同じ弊害が残ったまま。
こういう点をきちんと考えて議論していますか?
(6)経済政策としての消費税減税
経済成長が乏しい日本は、経済取引を活発化させることが重要である。
ところが、長引く低成長下で行ったことは、消費税増税であった。
消費税は、全ての取引にかかる税制であり、取引を阻害し、事業者を苦しめ、人件費を減少される要因であり、値上げによる生活苦となる、いわば経済活動を阻害する要因である。
非正規化・低賃金化とともに、消費税増税が、日本の成長を妨げてきた大きな要因である。
この点を考えるならば、日本の経済を活性化させる経済政策の一環として、消費税減税に取り組むべきであると考える。