「給食の富里市への委託」について
酒々井町では、老朽化している給食センターについて、建て替えではなく、富里市への委託の方針を決めました。
酒々井町HP 「学校給食センターの整備方針等に関するお知らせ」
6月定例議会において、「富里市と酒々井町の学校給食事務の委託に関する協議」に関する議案が出ています。
私は、この委託には「賛成」の立場です。
立て替えと委託にかかる問題点と、私が賛成する理由を、簡単に述べていきます。
1.町が富里市に委託する理由
①新たな建設が不要
②ランニングコストが安い
2. 建て替えをした場合にかかる費用(概算)
① センター方式 12億3700万 (国の補助1億8000万)
② 自校方式 13億4800万 (国の補助1億8000万)
※ 富里市に委託するときの初期費用想定額 約6000万
センター方式と比べて、費用が20分の1です!
3.ランニングコスト
① 酒々井でのセンター方式 約9700万
② 富里への委託 約8700万
4.町に財政的余裕がない
他にやるべき事業や計画されている事業が多く、費用の捻出が難しいと考えます。
まず、町の公共施設は老朽化しており、これからは毎年数億円を投じた大規模改修が必要となります。
・酒々井町における今後の大規模改修予定費用は、2025年〜2031年の間に、約29億
(酒々井町の公共施設等の老朽化対策について)
大規模改修は、2031年で終了ではなく、まだまだ続く予定です。
これとは別に、
・中川調節池事業が稼働中 5億以上
・墨古沢遺跡が計画中 10億?
・時期未定ですが、墨にある酒々井リサイクル文化センターの建て替えも予定。
・酒々井町の貯金(財政調整基金)は約2億とかなり少なくなっている
5.「国からの学校施設環境改善交付金」があるから、建設費はまかなえるという意見について
国からの学校施設環境改善交付金は、実際にかかる費用の1〜2割程度しかまかなえません。
・「学校給食施設整備・・・現在の制度では、学校施設環境改善交付金の補助率は3分の1となっていますが、補助基準が厳しく、総事業費の1割程度にしか達しないのが現状」(長野市 学校施設環境改善交付金制度の拡充について)
・二宮町の概算では、補助率は約12.5% (二宮町学校給食センター建設調査委員会)
・亀山市 教育委員会の算定では、最大でも約14%(亀山市 中学校全員喫食制給食実施事業に係る再検討結果について)
・酒々井町の試算では、補助金の割合は14.5%程度
10億円以上の持ち出しは、かなり厳しいことになります。
町債(借金)が多くなりますが、20年間4700万円の返済が必要です。
6、建設費がかなり高騰している
ここ数年で、建設費はかなり高騰しています。実際に建設するとなると、酒々井町の試算の12億3700万という金額より、大幅に金額がアップすると考えられます。
・長野県東御市
R6年試算 18億4000万
児童数 約1400名
(長野県東御市議会 令和6年3月14日 全員協議会会議次第)
・島根県津和野町
R4年試算の約6億円から増額され、
R5末に10億7600万で増額予算成立
児童数 約250名
(給食センター建設費 10億7600万円に減額 津和野町議会可決)
・亀山市
R4年試算 約8億8000万から増額され、
R5試算 約20億
児童数 約2200名
(亀山市 中学校全員喫食制給食実施事業の検討経過について(中間報告))
・酒々井町での試算は、12億3700万 (児童数 約1300名)
何時の時点の試算か明らかでないが、現在新たに試算すれば数億円以上金額が上がることも想定される。
7,給食の町での調理は、お金に換えられないという意見について
「酒々井の美味しい給食を守って欲しい」とよく言われます。しかし、委託が絶対だめとは言えないと思います。
まず、近年は原材料費の高騰で、今の保護者負担の給食費金額を維持したまま、同程度の給食を提供することが難しくなっています。美味しい給食を守るためには、金銭的な余裕が必要です。
また、給食費無償化がトレンドになっており、既に県内の4分の1近くの自治体が完全無償化を実現しています。新しく給食センターを作って、借金の返済のために、20年間も毎年5000万近い金額を使うよりも、給食費無償化や高校生までの医療費助成制度の創設などにお金を使った方が良いと思います。この議会で、町長は、令和8年度から中学生について給食無償化を始めるという政治的意欲を述べました。まだ実現が決定したわけではありませんが、一歩前進です。
それから、地産地消という点では、酒々井産の農作物をどれくらい使うかは、今後の協議になっています。
なお、6月4日に、富里市給食センターを視察し、給食を視力してきました。十分おいしいと感じられました。酒々井町と富里市のどちらの給食が美味しいかは比較できませんが、富里に委託したから美味しくなくなるという単純な話ではないように思います。
8,結論
以上に述べてきたように、新たな建設は非常に厳しい状況です。財政的に、給食センターを建設する余裕はないと考えています。今のままでも、資金がショートしてもおかしくありません。
美味しさつについては、富里市に委託しても大きく変わらないと思います。
9,今後の課題
課題1 説明が足りない!
本当に町からの説明が圧倒的に足りません!
町はしっかりと、保護者、児童、町民に説明すべきです!
教育民生常任委員会でも、説明ついてしつこく聞きましたが、十分な説明をするという回答は得られませんでした。それっておかしいと思います。学校ごとに説明会をするなど、しっかりと説明をすべきです。
このままでは不安と不満が大きくなってしまいます。
課題2「給食センターは作らないのに、最近はまるごとしすい等たくさん建物を作ってるし、墨古沢遺跡のガイダンス施設を作るの?」
近年は、JA跡地購入や、まるごとしすい、下宿ベース、げんき館の建設と、小さな公共施設をポコポコ建てています。維持費などもかかりますので、成果の上がらない事業は見直すべきだと思います。
墨古沢遺跡に納得がいかないのは、同じです。また6月議会で墨古沢遺跡を取り上げる予定です。もう計画撤回して欲しいと思います。
課題3「今後、給食について、町民は今みたいに気軽に意見が言えるの?」
富里市は委託事業者となるため、酒々井町民が直接意見を言うことは簡単ではありません。酒々井町が給食の提供者であることに変わりがないため、酒々井町民が、町に意見を言うべきであり、委託事業者である富里市は直接町民と関わりがないためです。富里市は、酒々井町との契約を守れば良いのであり、町民の要望を聞く立場ではないためです。今後は酒々井町民の意見を入れるために、富里市の給食センター運営委員みたいなところに、酒々井の代表を入れられるかを協議するようです。
町民が要望を言いにくくなるという点は、デメリットだと思います。しっかりと町民が意見を述べられる体制を作れるように、待ちを後押ししたいと思います。