公務員の非正規化の問題 新しく始まった会計年度任用職員制度について
令和2年9月議会、令和3年3月議会一般質問より
Q 現在のフルタイム会計年度任用職員、パートタイム会計年度任用職員の総数
A フルタイム会計年度任用職員 21名
パートタイム会計年度任用職員 160名
Q それぞれの主な職務とその人数
A 一般事務41名
調理業務を含んだ一般事務12名
保育士36名
司書助手7名
Q 男女ごとに分けた人数
A 男性45名 女性136名
Q 会計年度任用職員として継続して雇用される職員がいる場合について、公募したケースはあるのか。また来年度以降も公募する予定なのか。
A セーフティアドバイザーや外国語アドバイザーなどの専門的の高い職種を除いて、例外なく公募している。来年度のも年齢や性別に関わりなく、広く募集をしたいと考えている
Q 令和2年度から次年度も引き続き会計年度任用職員が任用される場合に公募を行った
割合
A およそ82%
【 身を切る改革は誰のため? 】
行政改革、身を切る改革として、公務員削減はずっと求められてきました。
民間委託や非正規職員が増え、今や職員の半数は非正規職員です。
しかし、行政サービスの充実が求められている今、やることは減るどころか増える一方です。
しかも、非正規雇用は、不安定、低賃金な雇用です。
特に公募の場合は、2月になっても4月からの就業が決まらず生活設計が難しくなります。
ハローワーク非正規職員の雇い止めがニュースになったように、「3月末までは求職者の相談に乗り、4月1日からは自分が失業者としてカウンターの向こう側にいる」というブラックジョークのような現実があるのです。
公務員の待遇が悪くなることは、結果的に住民サービスの低下を招き、その不利益は自分に返ってくるだけなのではないでしょうか?
【 毎年首を切られる公募制 】
酒々井町では、原則として毎年公募されています。つまり、どれだけ職場への貢献度が高くても、毎年首を切られ、一般の応募者と競わなければならないのです。(※ここ削除したのは、なくても意味はわかるということ?)
貢献度の高い職員が退職することは、住民サービス低下に繋がります。
会計年度任用職員制度は、自治体の裁量の余地もあります。
少なくとも、そのため、当事者が望むであれば、次年度も公募によらず継続雇用する運用とすべきです。
総務省の「令和2年12月21日 会計年度任用職員制度等に関する調査結果」によれば、酒々井町と同様に毎年公募する自治体は、全国で半数に満たない42.2%にすぎません。
数年に一度しか公募を行わない自治体は42.3%。
公募を行わず再度任用をする自治体は15.5%もあります。
安定した雇用は、職員の安定した生活には必要不可欠です。酒々井町も、公募を行わない運用を心がけてほしいと思います。
【 女性の働き方、少子化との関係 】
非正規職員の大半は女性です。
日本の社会制度は、男性が主たる稼ぎである正社員で、女性はパートで家計を補助する専業主婦という、性別役割分業を前提としたモデルで構成されています。
酒々井町も例に漏れず、会計年度任用職員における女性の割合が約75%もあります。
公務員の非正規職員の増加は、女性の社会的地位の低下や賃金の低下にも繋がる大きな問題だと思います。
また、安定な雇用、低賃金は、少子化の一因になっています。
少子化対策をすべき行政が、少子化の一因を作り出しているのではないでしょうか?
【 公務員制度をもう一度考えるべき 】
自治体の仕事は、住民のいのちや暮らし、権利を守ることであり、恒常的かつ専門性が求められるため、臨時的で非常勤的な職員が担うことは想定されていませんでした。
それが、今や非正規公務員が半数を占めることとなり、自治体がすべき仕事の内容と相反する状態となってしまいました。
不安定、低賃金という劣悪な待遇のままでは、他の選択肢があれば容易に離職します。このままでは近い将来、公務をする人が足りなくなり、自治体のサービスが崩壊します。
例えば、災害時には、自治体は避難所の設置、時々刻々と変わる状況に合わせた対応が必要なため、柔軟かつ24時間体制での活動が不可欠です。
ところが、非正規職員は、契約の縛りがあるため、非常時の対応にあたることは原則としてできません。
そのため、今後大きな天災が発生した場合には、正規職員では対応しきれなくなり、必要なサービスが提供できない可能性があるのです。
自治体は何のためにあるのかという原点から、公務員制度についてもう一度考えるべきではないでしょうか?