市民と法 No.127に「憲法と調和的なAI社会はどうあるべきか」が掲載されました
共著の論考が「市民と法 No.127 【論説・解説】憲法と調和的なAI社会はどうあるべきか」に掲載されました。
ここ数年は、日本司法書士会連合会 司法書士総合研究所 憲法研究部会の主任研究員を務めています。今回の研究内容は「AIと憲法」ということで、AIの発展が、人権や民主主義に対してどのような影響を与えるかを研究してきました。
AIは様々な分野で使われ、人々の生活を快適にしており、AIは万能だというイメージがあります。
その一方で、AIによる人権侵害が問題視されていることを忘れてはなりません。
知らないうちに情報が取得されてしまうプライバシー侵害は最もわかりやすいと思います。他にも、購入履歴や閲覧履歴、SNSのいいねなどの情報をもとにして、関連商品の表示にとどまらず、趣味嗜好・支持政党などの個人の属性を推測し、その個人にアプローチをかけることで、自己決定権の侵害や民主主義の課程に瑕疵が生じさせるおそれがあります。また、AIのもととなるデータが差別社会を反映しているため、差別の固定化が生じてしまうおそれもあります。
それから、AIとは、データ解析に基づく計算に過ぎない点も忘れられがちです。
人間が持ち合わせている常識はなく、善悪の区別もつかず、間違った選択をしたと苦悩する感情も持ち合わせていません。そのため、人間社会をどのように数値化してデータとして与えるかの取捨選択が重要であり、与えるデータが偏っていれば、偏った答えを返す事は当たり前であるとわかるし、使い方によっては人間社会に害をもたらすことになりかねないのです。
このようなAIが抱える問題について、簡単にまとめたのが掲載された論考です。ご興味ある方は、是非お読みください。