特商法・預託法における契約書面等の電子化に反対します
特商法・預託法における契約書面等の電子化について議論された、第335回消費者委員会本会議の動画見ました。
はっきり言って無茶苦茶です。
何のために法定書面の交付義務を課したのかという点が無視されています。
特商法は、電話勧誘・訪問販売などの不意打ち的勧誘や、特定継続的役務提供のように実際に受けてみなければ効果が分からないような契約類型について、本人が望んでもいなかった契約や不要な締結させられてしまった消費者保護のために設けられた規制が多い。
法定書面の交付は、事業者側に義務を課すことで手間をかけさせ、また赤字にすることでクーリングオフが可能だという注意喚起をし、冷静になったときに解約を容易にすると共に、書面として消費者の手元に残ることで、のちの証拠となり、また第三者の気付きを容易にするという現実的な機能を併せ持つ。
特商法の書面交付の意義や、電子化の問題については、住田浩史弁護士がわかりやすく書いているので、参考して欲しい。
そういう制度趣旨や法定書面の機能を全く無視して、契約の迅速化のみを図るとは何を考えているのか。
また、契約書面の電子化は消費者の承諾があればよいっていう考えも、全く法の趣旨を理解していない。
契約締結後も、消費者保護のために後からでも容易に契約を解約するための法律なのだから、電子化についての消費者の承諾自体にも、安易に認めるべきではないことくらいわかるだろう。
PDFデータの方が保存しやすいというニーズがあるのなら、書面交付にプラスしてPDFデータの交付を認めれば良い。
またその際には、業者による改変がされないように、制裁措置を含んだ担保が必要だろう。
本当に、全ての契約書面等の電子化を認めるなんて無茶苦茶です!