公立学校教員に1年単位の変形労働時間制を適用しないことを求める意見書
この変形労働時間制導入は以前から問題だと思っており、9月議会でも質問したのですが、それ以上は何もしていませんでした
しかし、コロナ禍で行われた、内田良さん、嶋﨑量さんらによるZoomオンラインイベントに参加したことで、意見書発出という手段があることに気がつきました。
また問題点については、下記の記事も参考になります。
嶋崎量 教員の長時間労働・固定化を食い止めろ!~条例による公立学校・一年単位の変形労働時間制導入阻止~
思い立ってからバタバタと文案をまとめ、何とか酒々井町12月議会に、「公立学校教員に1年単位の変形労働時間制を適用しないことを求める意見書(案)」を提出し、採択され、無事発出することが出来ました。
酒々井町12月議会に、「公立学校教員に1年単位の変形労働時間制を適用しないことを求める意見書(案)」を提出し、採択され、無事発出することが出来ました。
12月議会の途中で提出したので、他の議員から、時間がなく何も調べることが出来なかった、もっと早く出すべきだったと反対もされたのですが、何とか過半数の賛同を得られ、無事発出にこぎ着けました。賛成してくれた議員の方々、ありがとうございます。
ちなみに、酒々井町議会では意見書が採択されても、文章がHPにアップされません。そのため、ここに全文を掲載します。
なお、酒々井町の住民や他の自治体の方への情報公開の観点から、きちんと情報提供すべきだと思います。
公立学校教員に1年単位の変形労働時間制を適用しないことを求める意見書
平成30年の厚生労働省「過労死等防止対策白書」によれば、小・中・高・特 別支援学校を含めた全ての学校の教員の1日当たりの実勤務時間の平均は、所定勤務時間は7時間45分のところ、通常期でさえ11時間17分、過去 1 年間で 一番忙しかった時期である繁忙期には12時間56分という長時間労働になっている。
近年は、新学習指導要領への対応はもとより、社会の変化への対応や保護者等からの期待の高まり等を背景として、子どもの基本的な生活習慣の育成等の面で、過度の期待が寄せられており、教員の時間外労働はいっそう拡大している。
教員の労働環境は、子どもにとっての学習環境である。長時間過密労働の影響は教員だけにとどまらない。教育現場は「子どもと過ごす時間も十分にとれない」 「あしたの授業準備さえままならない」などの悲痛な声であふれていて、もはや子どもの学習権を保障できているとは言い難い状況である。教員がしっかりと子どもと向き合い、教育活動に専念できる抜本的な労働環境の改善と子どもの学習権を保障するための投資がいま、早急に求められている。
これに対して政府は令和元年12月、通常の勤務時間を延長した場合に、かわりに夏休み時における勤務時間を縮めることができる、1年単位の変形労働時間制を導入することができるよう、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)を一部改正した。しかし、この法改正をめぐる国会審議で「教師の業務や勤務が縮減するわけではない」と明言しており、法改正は教員の負担を減らすのではなく、夏休み中の休暇のまとめ取りを推奨する負担分散に過ぎず、教員の日常の労働環境の抜本的な改善とは到底言えない内容である。
さらに文部科学省は時間外労働の上限を「月45時間、年360時間以内」とする「指針」を本制度導入の前提とした。しかし、令和元年12月の千葉県教育委員会による「教職員の働き方改革に係る意識調査」によれば、月45時間以下の者は45.3%に過ぎない。半数以上の教員がこの上限を超えて働いており、 制度導入の前提すら整っていない。
何よりこの制度が導入されれば、ゆとりを持って子どもと向き合い、個々の成 長や発達に寄り添うことが困難にならないか、時間をかけて授業準備をすることがいっそう難しくなって、子どもの学力低下を招くことにならないか、日々の疲労が回復できず過労を募らせ夏休み前に倒れる教員が多くならないかなど、 懸念は尽きない。したがって、1年単位の変形労働時間制を導入するよりもまず、 恒常的な時間外労働の解消こそ、第一になすべきことと考える。
よって、千葉県並びに千葉県教育委員会においては、下記を実行することを求める。
記1 1年単位の変形労働時間制を公立学校教員に適用する条例制定をしないこと。
2 教員が子どもとしっかり向き合い、授業の準備をする時間の確保など、「子どもの学習権の保障」という観点から教員の労働環境の抜本的な改善を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年12月11日
酒々井町議会議長 江 澤 眞 一千葉県知事 鈴木 栄治 様
千葉県教育委員会教育長 澤川 和宏 様