2024.12.13 酒々井町議会にて「訪問介護基本報酬の引上げと介護報酬の再改定を求める意見書」が採択されました


訪問介護基本報酬の引上げと介護報酬の再改定を求める意見書

3年に1度の介護報酬の改定で、訪問介護の基本報酬が2024年4月から2~3%引き下げられ、多くの事業所や、介護関連の団体から怒りと不安の声が広がっている。訪問介護はとりわけ独居の方をはじめ、要介護者や家族の在宅での生活を支える上で欠かせないサービスである。

厚生労働省は引下げの理由として 「訪問介護の利益率が高い」 ことをあげているが、これはヘルパーが効率的に訪問できる「集合住宅併設型」や都市部の大手事業所が利益率を引き上げているものであり、実態とかけ離れている。

訪問介護事業所は厚労省データでも約4割が赤字、2024年1月~10月の倒産件数は、72件(東京商工リサーチ)と過去最多を更新している。

また介護職員の賃金は全産業平均を月額約7万円下回っており、改善とはほど遠いものである。物価は2020年から8.1%上昇、物価高騰や感染症対策、処遇改善を考えれば、10%以上の報酬引上げが必要だ。厚労省は「処遇改善加算」によりトータルでプラスになると説明するが、それは現行の処遇改善加算を取得していなかった事業所のケースであり、対象は1割しかない。また加算には段階ごとに様々な要件と負担を強いる上に、どの事業者も最高段階の加算を受ける現実味がない。

加えて介護現場の人手不足も年々深刻であり、介護人口が増えるほど職員の負担が増え、その上報酬引下げも重なって更に職員が減るという悪循環を生んでいる。

改定された訪問介護の基本報酬は、食事の介助やおむつ交換などの「身体介護」も、掃除や買い物、調理などの「生活援助」も2~3%の減額となった。訪問介護、夜間訪問介護、定期巡回型訪問介護もすべて削減された。

この影響は高齢者介護や障害者介護だけでなく、いま急増している認知症ケアや、介護と子育てを背負うダブルケアラー、祖父母の介護を背負うヤングケアラーなどへの支援も衰退させるもので、多くの事業所や各団体から抗議や怒りの声が集中した。

また報酬改定のパブリックコメントは前回の12倍。ほとんどが訪問介護報酬に関する内容であったと厚労省部局が答えている。

6月5日、衆議院厚生労働委員会は 「介護障害者福祉事業者の処遇改善に関する決議」 を全会一致で議決した。その決議は自民党、公明党、立憲民主党、日本共産党、日本維新の会、国民民主党、有志の会などが共同で提案したものであり、今年度の訪問介護の報酬引下げの影響を速やかに検証し、その結果に基づいて必要な措置を講じるよう訴え、基本報酬を引き下げられた訪問介護の事業者らの意見も聞くべきと指摘している。

政権与党も含めて見直しを求める決議が国会から上がるのは異例の事態である。この決議に向き合い、訪問介護の減少と在宅介護の崩壊を食い止める根本的な処遇改善が必要である。

よって国及び政府においては、訪問介護の基本報酬を早期に引き上げ、介護事業を十分に支えられる報酬となる再改定を強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和 6年12月13日

酒々井町議会議長 髙 﨑 長 雄

内閣総理大臣 石破 茂 殿

厚生労働大臣 福岡 資麿 殿

財務大臣 加藤 勝信 殿

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