第3期酒々井町地域福祉計画・酒々井町地域福祉活動計画(素案)に関する意見募集(パブリックコメント)を提出しました

2023年2月1日〜14日まで、第3期酒々井町地域福祉計画・酒々井町地域福祉活動計画(素案)に関する意見募集(パブリックコメント)をしています。

先ほど提出してきました。

以下に、提出したパブコメを掲載します。

【計画全般について】

①「助けて」と言える社会にするという視点について

「助け合い」「支え合う」をどう実現するかという一番肝心な部分が欠けているように感じる。それは「助けて」を言える関係をどうやって構築するかということである。

昔であれば隣人に、「お醤油かして」と言える関係があった。それくらい密接な付き合いがあったからこそ、何かあれば助け合うことが当たり前であった。また、破れた衣類を繕うことは普通であり、すり切れたり,色あせするような服を着ることで、外部から家庭の状況を知ることが可能だった。しかし、今は全く状況が違う。食費を削ってでも、衣類にお金をかけて、貧困を見せないように努力している家庭もある。使える支援があっても、生活保護は死んでも嫌だという人がいる。他人に迷惑をかけたくないと断る人もいる。自分の力だけで生活することが望ましく、他者に依存することや、他者に弱いところを見せることを嫌う文化が構築されていると思う。

また、小さい頃から「他人に迷惑をかけるな」と言われて育つことも見直すべきである。

他にも、学校の授業などに限らず、催し物などに参加すると、「楽しかった」などポジティブなことは言えるが、「つまらない」「嫌だ」「やりたくない」「辛い」「しんどい」などネガティブな感情を出すことが言えない社会になっているように思う。他者への支援を求めることは、ネガティブな感情の発露に他ならない。普段から、ネガティブな感情を出しても受け入れてもらえるという社会にしていくことを大切である。
以上に述べたような視点が、福祉計画に不可欠であると思う。
どのような位置づけをするのか難しいところであるが、例えば第1章に、『「助けて」と言える社会にしていく』と記載するなど、どこかに明記すべきである。

②福祉関係者への支援について

充実した福祉を行うためには、福祉関係者が常に万全の体制で挑めるように努めるべきである。しかし、福祉職は、不安や不満を抱える方の対応をするため、相手の理不尽な対応に遭遇したり、相手の負の感情を受け止めてしまうなど心理的な負担が大きい。このような心理的な負担から職員を守る必要がある。そこで、福祉計画のどこかに、カスタマーハラスメントから職員を守ったり、メンタルヘルスに努めるなど、町には福祉関係者のケアをする義務があることを明記すべきだと思う。

P1

【1 地域福祉とは】

「障がいの有無や年齢にかかわらず」と限定した記載にするのではなく、P2の「ひきこもり、生活困窮者の増加、高齢者や障がい者、児童への虐待やDV、認知症高齢者や障がい者の権利擁護など、多くの課題が顕在化」していることを念頭に置いた記載にすべきである。
例えば、社会福祉法第107条第1項第1号の記載を引用して、
地域福祉とは、「地域における高齢者の福祉、障害者の福祉、児童の福祉その他の福祉など様々な福祉サービスを必要とする人が・・・」
と記載することが考えられる。

P5

【5 計画の位置づけ】

「このため本計画は高齢者、障がい者、子どもなどの分野に共通する理念や考え方を明らかにするとともに、それらにまたがる事項を横断的に定める計画」とある。しかし、共通する理念や考え方とすると、それぞれに必要な理念のうち、共通する一部のみを取り出すという趣旨になってしまう。用語の問題であるが「高齢者、障がい者、子どもなどの分野を『包摂』する理念や考え方」と記載し、全てを含めた趣旨だと記載すべきである。

P14

【(5)ひとり親家庭】

データとして、児童扶養手当受給世帯数のみが記載されている。
しかし、まず基本的なデータとして、「ひとり親家庭数の推移」をいれるべきである。

P17

【3 調査の結果など】

色々な調査が有ると思うが、関連のある調査が網羅されているのか不明である。
パッと目につくところでは、「酒々井町子ども・子育て支援に関するアンケート調査」が入っていない。ひとり親支援を検討する際に使えるデータがなかったということか、それともどれかの項目に入っているのか。使用するデータにより、結果が全く異なってしまうことから、もし、様々なアンケートの一部のみを使用したのであれば、どのような理由により一部のみを使用したのか、注釈でも良いから、その意図を明記すべきである。

P18

【4 各種統計や調査結果からみえる課題】

「新型コロナウイルス感染症が起因した、就労が不安定となった相談が増加しており、生活に不安を抱えている方が多くなりました」との記載がある。会社を首になったり、シフトが入らなくなったり、不況により倒産するなどの、自らの意思によらず職を失うことは、うつ病などの疾患に繋がりやすう、健康に悪影響を与える。また、安定した就労による、安定した生活があって、初めてその人らしく自立した生活を送ることが出来るのであるから、安定した就労への支援は不可欠である。相談の内容にもよるが、組合など会社内の組織でないと解決できない問題もあるのではないかと思う。

ところが、この計画にあるものは、基本的に酒々井町内の資源に限られている。本計画には、就労については独立した項目がないが、事案によっては、ユニオンへ繋ぐなど、外部組織との連携を積極的に考えてみてはどうか。そのため「安定した就労への支援」を、何らかの形で福祉計画に記載すべきである。

P32〜

【4 生活福祉≪権利擁護の充実≫】

人権を守るためには、制度や行政の中にある人権問題の洗い出しをする必要がある。差別のある法はどんなに公平に適用したとしても、差別を生み出してしまうからである。また法を適当する際に、差別意識や偏見がある人がいれば、制度に問題がなかったとしても、運用によって差別を生み出してしまう。

人権は新たな価値権によってアップデートされている。時代によってどんどん新しくなっている。町自身が、差別偏見を生み出すことのないように、時代に即したガイドラインを作ったり、条例・要綱その他様々なルールを見直すべきである。

例えば、LGBTなどの性的マイノリティーに対応した社会にするためのガイドライン制定、条例制定がされていない。このため、性的マイノリティーの方の人権が踏みにじられている可能性がある。具体例として上げると、酒々井中学校の新入生保護者説明会資料には「男子の髪の毛は、襟足がワイシャツや学生服の襟につかない。脇は耳を出す長さにし、ワックス等で固めることは禁止です。女子は髪の毛が肩についたら頭の後ろで1つか2つに結びます。」との記載がある。このような男女別のルールが決まっている学校で、性的違和を抱える児童がどのような立場に置かれるのか、当事者の立場に立って考えているのか疑問である。例えば、身体は男性だが、自分が男性であることに不快感、違和感を抱えている児童がいた場合に、小学校ではある程度の長髪にして性的違和と折り合いを付けていたとしたら、短髪を強要されることで、自己否定されたと受け止めるだろう。相談すればいいと言うのかもしれないが、不合理なルールを押しつけることで、カミングアウトを強要することは、それ自体が人権侵害に他ならない。このような視点があれば、髪型については何もルールを設けないか、「(男女ともに)髪の毛が肩についたら頭の後ろで1つか2つに結びます。」という共通ルールを設けるという考えに至るだろう。

このような、人権侵害となりそうな事例がないかということを、常に意識すべきである。これをして初めて、権利擁護が充実したと言えるのである。

従って、「4−4 町の制度や行政の中にある人権問題の洗い出し」という項目を設け、その取組内容として「町の執務においては、常に新しい価値観を取り入れ、小さなルールや運用も人権侵害となることを自覚し、人権侵害となることがないように絶え間なく努力する」など、町主体による人権侵害をなくす取り組みを義務づけるべきである。

P35

【5 防災対策】
①女性の安全

避難所では、女性に対する配慮という視点があまりなかったために、女性のみが給仕役をさせられるなど性役割分担を強要されることがある。また過去の災害時において各地の避難所で性的犯罪が行われたという実態が明らかになっている。近年は生理用品の備蓄が進むなど一定の理解が進むが、避難所における性被害の実情などは、まだ社会の共通認識とはなっていない。そのため、取組名を「女性が安心できる避難所の設置」とし、取組内容に「避難所における性役割分担の強要や女性差別をなくし、性犯罪から女性の安全を図るよう務めます」と明記すべきである。

②障がい者の避難支援

障がい者は、要支援者とされている場合があり、避難に支援が必要な場合があるだけでなく、環境が変わることによる不安感から、落ち着いた行動が出来ない方もいる。そのため、他の方へ迷惑をかけることをおそれ、避難所に行くことを諦めてしまう場合がある。そこで、別に項目を設けるか、「避難行動要支援者への支援」の取組内容として「障がい者に対する理解を求める意識啓発や、避難を可能とする環境整備を行う」と明記すべきである。

P36

【6 移動手段】

交通弱者対策には、公共交通機関を利用することが困難な者への対応も含めるべきである。

具体的には、宗吾参道駅の周辺には何もないため電車に乗らないとどこにも行けない。ところが、宗吾参道駅がバリアフリー化されていないため、自由に買い物に行けない高齢者がいる。またベビーカーの利用も出来ない。そこで、取組名を「バリアフリー化」とし、取組内容に「①宗吾参道駅のバリアフリー化。②バリアフリー基本計画の作成」と明記すべきである。

P38

【7 見守り、支え合い】

見守り協定について、協定締結から何年も経っているにもかかわらず、報告が一件もないという。その現状を踏まえて、「見守り協定」の取組内容は「見守り協定を締結している企業や事業所等と連携した見守り『について、実効性確保のために適時見直しをします』」と、文言を変えるべきである

P43

【11 交流の場】

近年は、eスポーツを、高齢者の認知機能維持、障がい者の社会参画、多世代間交流のために取り入れる自治体が出てきている。

eスポーツは、年齢や属性の制限なく、見知らぬ人同士でも一緒に行えることから、交流の場として機能する。また、特定の活動場所に集まって一緒に行うだけでなく、自宅からオンラインでの参加も可能であることから、新しい交流の場となる可能性を秘めている。酒々井町でも積極的に取り入れるべきである。

そこで、「サロン事業の推進」の取組内容に、「③eスポーツの活用も検討する」との一文をいれる、または新しい取組名として「eスポーツの活用」という項目を作るべきである。


※ eスポーツ
 「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称

参考 https://jesu.or.jp/contents/about_esports/

P44

【12 福祉施設】

①公園の整備について

「公園の整備」について、「子どもと高齢者が交流できるような場を提供します」とある。しかし、子どもが遊ぶ遊具がなければ、子どもが公園に来る機会が減る。そのため、子どもと高齢者の交流を目指すのであれば、取組内容を「『子どもの遊具の維持、新規設置など子どもの遊び場の機能を保つように』公園を適切に管理し、子どもと高齢者が交流できるような場を提供します。」と記載すべきである。

②バリアフリー体制について

「バリアフリー体制の整備」の取組内容について「①・・・公共施設の改善に努める」との記載がある。しかし、高齢者や障がい者が公共施設を利用するためには、施設という点ではなく、地域という面のバリアフリー化が不可欠である。そこで、「①高齢者や障がいのある方の公共施設利用を高め、社会参加を促進するため、『酒々井町全体のバリアフリー化に』努めます。」と記載すべきである。

また、町全体のバリアフリー化を進めるためには、基本構想がその基礎になることから「③バリアフリー基本構想の制定に努めます」と追記すべきである。

P46

【14 広報・情報】

  • 広報について

広報紙は新聞折り込みとなっているため、配布世帯が少ないのではないか。そのため、「広報紙・回覧・ホームページの充実」の取組内容に「広報を、より多くの世帯に配布できるような配布方法を検討する」と明記すべきである。

  • インターネットについて

「インターネットを活用した情報提供」は、現在のところ、量が全く足りないと思う。Twitterでは、ほとんど情報が流れてこない。これは、Twitter等で、全ての情報を流すと情報量が飽和してしまい、取りこぼしが多くなることを避けるためと考えられる。しかし、一方で網羅的に載っている町HPは必要な情報を得られるかもしれないが、どこに必要な情報があるのか見付けることが難しい。これでは適切な情報を得ることが難しい。インターネットは紙媒体と異なり、低廉な費用で、その人の状況に合わせた情報提供が可能であることを考えるならば、「その人の問題にカスタマイズされた情報提供が出来るシステム構築を検討する」と記載すべきである。

参考「自治体初(*1)!一人ひとりの悩みごとに合わせて適切な支援を案内する「お悩みハンド ブック」が自治体向けのカスタマイズ機能を提供開始」

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