憲法改正と緊急事態条項のはなし  パート1 プロローグ

登場人物
 さら
 まこと
 麻衣(まい)
 蓮(れん)
 店長 

さら
 まこと
 麻衣(まい)
 蓮(れん)
 店長 


まこと「お待たせ! 遅れてごめん!」

蓮 「遅いよ、何やってたのさ」

まこと「いや〜、ごめんごめん、寝坊しちゃったんだ」

麻衣「また寝坊? 昔から変わらないわね」

蓮 「遅刻王マコトの異名は伊達じゃ無いな」

まこと「いやいや、面目ない」

さら「まあ、良いじゃない少しくらい遅れたって。今日は、久しぶりに集まっておしゃべりするだもの、楽しくやりましょうよ」

麻衣「それもそうね」

蓮 「そういうことにしとくか」

まこと「みんなありがとう! ということで、店長、生ビールちょうだい」

蓮 「おいおい、昼間っからビールかよ」

まこと「走ってきて汗かいたんだから、ビールが一番旨いんだって」

さら「はいはい。じゃあ、おつまみ代わりにケーキでも頼んだら?}

まこと「いいねー。店長、チーズケーキも追加で!」

蓮 「マジに頼むんかい!」

まこと「おなかに入ればなんでも良いじゃん。というわけでカンパーイ♪」

麻衣「私たち、紅茶なんだけどなぁ(苦笑)」

蓮 「まあ、いっか。カンパーイ♪」

さら「はいはい。カンパーイ」

麻衣「あー、もう何でもいいわよ。カンパーイ」

まこと「ゴクゴク・・。プハー、旨い! 店長、もう一杯! ついでに、これとこれとこれも注文お願いね」

麻衣「全く、まことってば、自分勝手なんだから」

まこと「自分の心に素直なだけって言って欲しいなぁ」

蓮 「まったく口ばかり達者なんだから。ん、ポケットに何入れてるんだ?」

まこと「ああ、これ? 駅前で配ってたんだよ」

蓮 「どれどれ、憲法改正に反対しますって。おまえこんなのに興味あるの?」

まこと「そりゃね」

麻衣「えー、意外。政治になんて関心あったんだ」

まこと「当たり前じゃん。政治に興味ない方がおかしいよ」

蓮 「そんなもんかなぁ」

まこと「そんなもんだよ。政治って、俺たちの生活に直接関わってくるじゃん。無関心な方がおかしいでしょ」

さら「そうね。政治に無関心でいられても、無関係ではいられないものね」

麻衣「でも、政治なんて誰がやったって一緒でしょ」

蓮 「そうそう、政権交代しようがしまいが、政治なんて変わらないって」

さら「そんなことないわよ。私たちの生活には、政治が大きく関わっているのよ」

蓮 「本当なのかなぁ」

さら「本当よ。例えば、派遣は、今は多くの業種で認められているでしょ。でも、いろいろ問題があったため、昔は法律で禁止されていたの。それが、規制緩和というかけ声の下、派遣が可能となる業種がどんどん拡大されて、専門性の薄い製造業についても派遣が認められてしまった。企業は、人件費が重荷だと考えてから、いつでも切り捨てが出来る派遣に切り替えを進めていったわ。今では、派遣会社はコンビニよりも多くなっている異常な状態になっているのよ」

蓮 「その結果、今に至るってことか。やっぱり政治なんて、俺たちを守ろうとしないんだな」

さら「そうでもないわ。実は、政権交代が起きた民主党(現民主党)の公約の一つに、『製造業派遣の禁止』があって、政権交代後に法案化されたこともあるわ」

蓮 「へー、それは知らなかった。・・・でも、変わらなかったんだろ」

さら「そうなのよね・・・。当時野党だった自民党や企業の反対、派遣労働者も自分たちが首になると反対する人たちもいた。また、民主党の内紛があって、エネルギーを権力闘争に消費してしまったこともあるわ」

麻衣「民主党のゴタゴタは酷かったものね」

さら「『コンクリートから人へ』という理念は良かったし、子ども手当や天下り禁止など、掲げた政策も方向性としては間違ってなかったと思うの。その理念をもう一度思い出してもらいたいところよね」

蓮 「なるほどなー。正直言って、当時はゴタゴタしか見えなかったし、今でも民進党はどうしようもないと思ってる。でもさ、もし、当時の民主党がもっとしっかりしていたら、少しは社会が変わっていたかもしれないんだな」

さら「その可能性が高いわね」

蓮 「そっか、政治って、どんな政権になるかで、変わる可能性があるんだ・・・。今まで考えたこと無かったよ」

麻衣「私も知らなかったわ。みんなが政治に関心を持っていたら、少しは世の中って変わるのかしら」

さら「変わるわよ。国政選挙は投票率が5〜6割だから、半分くらいの人は行かないでしょ。都道府県知事や市町村長選挙なんて、投票率が3割の場合もあるわ。選挙に行かない人たちの1〜2割が意識を変えれば、それだけで当落が変わってくるの」

麻衣「1〜2割の人たちが動くだけで政治が変わるの?」

さら「政治の状況は大きく変わるわ。小泉旋風や、民主党への政権交代劇は、普段無関心な層が動いたためとも言われているのよ」

麻衣「へ〜。そんなに大きな影響があるのね」

蓮 「そうだったのか。今まで選挙なんて行ったことなかったけど、俺も政治に関心を持たないといけないな」

さら「そうね。みんながそう考えてくれたら、良い未来になると思うの」

麻衣「私も、少しは考えてみるわ」

さら「一緒に考えましょうね」

麻衣「うん」

さら「ところで、政治によって大きく世の中が変わるという典型が、さっきのチラシにあった憲法改正の話なのよ」

麻衣「憲法改正って、今の憲法は押しつけられたものだから、憲法を変えるってことでしょ」

さら「憲法を変えるって事はその通りだけど、押し付けられた事は、内容とは関係ないところなので、変える理由にはならないんだけどね」

蓮 「憲法を変えるったって、どうせ9条を変えて、自衛隊の名前が防衛軍に変わって、海外に派遣できるようになるくらいなんだろ」

麻衣「9条が変わっても、みんな戦争なんてしたくないんだし、戦略戦争を始めるわけないじゃん」

蓮 「そうそう。憲法改正したって、大して変わるとも思えないよな」

さら「それは認識が甘い気がするわ。戦争はほぼ全て自衛を理由に起こされていることを忘れてない?」

蓮 「まあ、確かにそうだな。第二次世界大戦の日本も自衛戦争って言ってたし、イラク戦争もアメリカは自衛だって言ってたっけ」

さら「そう、だから専守防衛と言っても、海外に自衛隊が自由に派遣できるようになると、気がつかないうちに戦争を始めちゃうかもしれないって事なのよ」

蓮 「なるほど、海外に派遣しないっていうのは、絶対に戦争を始めませんっていう意味なのか」

麻衣「私たちが戦争をしたくないって思っても、ミサイルが飛んでくるとか毎日聞いてると、自分たちを守るためにはこっちから基地を攻めないと、って思っちゃうけど、そういう気持ちも利用されちゃう?」

さら「そうね。危機意識を煽ることで戦争に繋がることが出来るわ。ナチスの国家元帥を務めたヘルマン・ゲーリングは、国民を戦争に駆り立てるには、自分達が外国から攻撃されていると説明すればいい。平和主義者には、彼らは愛国心がなく国家を危険に晒す人々だと公然と非難すればいい。と言ったそうよ」

麻衣「そうなのね。私たちが何となく感じちゃう危機感も利用されちゃうのね」

蓮 「でもさ、そういう感情って当たり前に出てくるもんじゃん。危ないと言われれば、危ないんだなって思うのが普通だろ。どうやって、国に騙されないようにすればいいのさ」

さら「難しい問題なのよね。いつでも、だれでも、きちんと情報が得られて、きちんと考えることができればいいんだけど、それって理想論であって、実現するのは難しいと思うわ」

麻衣「じゃあ、国に騙されるしかないって事?」

さら「本当はね、そのためにマスコミあるのよ。先の大戦では、マスコミが熱狂的に戦争への意識を煽った側面があるの。だから、その反省にたって、きちんとした情報を下に、分かりやすい説明をした報道をして、市民が間違った判断をしないようにする義務があると思うの」

麻衣「最近は、マスコミはその義務を果たしていない?」

さら「私は、そう思うわ。だから、マスコミには、政府見解に偏っていたり、適切な解説を怠っている現在の報道姿勢を改めてもらうように要請をすべきだし、マスコミに頼らない情報の周知方法について研究する必要があると思うわ」

蓮 「戦争も、憲法改正も、よく分からないけど、何となく悪い方向に進んじゃったなんて、嫌だもんな」

麻衣「将来、子どもたちから、『大人たちは何で反対してくれなかったの』、とか言われちゃうかもしれないものね」

憲法改正と緊急事態条項のはなし パート2 憲法改正って何?へつづく・・・・・

憲法改正と緊急事態条項のはなし  パート1 プロローグ
憲法改正と緊急事態条項のはなし パート2 憲法改正って何?
憲法改正と緊急事態条項のはなし パート3 憲法改正手続って問題だらけ
憲法改正と緊急事態条項のはなし パート4 憲法改正なのに、市民活動に罰則が!
憲法改正と緊急事態条項のはなし パート5 緊急事態条項ってなに?
憲法改正と緊急事態条項のはなし パート6 危険がひそひそ緊急事態条項
憲法改正と緊急事態条項のはなし パート7 緊急事態条項って、いる?いらない?
憲法改正と緊急事態条項のはなし パート8 緊急時も濫用防止!
憲法改正と緊急事態条項のはなし パート9 災害時には緊急措置があるよ
憲法改正と緊急事態条項のはなし パート10 国会議員の任期延長?
憲法改正と緊急事態条項のはなしパート11(完) デマに流されないで

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